お客様とプロの声

『MRの現状と課題。適性検査に何ができるのか』

2014/10/03

  • 語り手 株式会社メディエンス
    代表取締役社長 池上 文尋 氏

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

MRトップ5に入る人材を見極めるために

──MRは特殊な営業だと言われますがいかがでしょうか

そんな風に思う方が多いように感じますが、まったく特殊なものではありません。MRも営業なので、他の業界の営業に求められる資質と同じように、人が好きっていうのが大前提であります。次に、ルート営業とはいえ、イヤなところにも行くしイヤなことも言われるのでストレス耐性がないとだめ。多忙なドクター相手なので会えないことも多い、だからつねにモチベーションを高くもって、上手くいかなくても次は別の切り口でいってみようと思えるポジティブさも持っていないとだめです。また、基礎知識は会社の研修で身に付きますが、基礎知識だけでは症例ベースの話などはできないし、本当の意味でのパートナーにはなれないので、積極的に知識を広げていく力、知識吸収力があるかどうかも重要です。
そうした資質プラス、ドクターにとってのMRトップ5に入り込める人間力が求められます。そもそもドクターが一日にちゃんと会って話を聞いてくれるのはせいぜい2人、ひと月に20日間稼働しているとして40枠しかありません。ドクターが必要とする情報は、5人くらいのMRがいればだいたい集められるので、ドクターは定期的に会うMRを5人くらいに絞っている場合が多いです。トップ5のMRがそれぞれ週一で来たらもう残りは20枠しかない。残りの枠を争ってアポイントを取るのは相当大変です。だからトップ5に入ることがすごく重要で、会社もそういう人間をいかに採用して、教育していくかに苦労しています。
ちなみに、現状での教育というのは、会社にパンフレットを渡されて、アプローチはこうして、こうやって問題を喚起して、クローズで製品をお願いしてみたいなことの練習です。そんなMRばかりが一日に何十社も来るのですから、ドクターはもううんざりしています。でも、薬を売ろうじゃなく、良い情報を持って行って喜んでもらいたい、役に立ちたいって気持ちでやって来るMRの話は心に刺さります。本当に役に立つよい情報を提供し、帰り際に「一応仕事で来ているので」とパンフレットだけを置いてくる。「会社には宣伝したってことにしてくださいね」と言えば、それは好感度が上がりますよ。わたしはこの話を、本に書いたり研修で話したりするのですが、会社に与えられたステップをこなすだけの営業ではだめなんだって、ようやく研修部や人事部が気付き始めたかなってところです。
現状、この業界では適性検査はそんなに利用されていません。外資系だと上に上がっていく人たちの適性を見るために使ったりしますが、日本企業ですと新卒採用時に最初のエントリーフォームの段階で一般的なものをさせたり、既存の社員には一人2、3千円の簡易なものをやらせる程度です。ですが、これからのMRを取り巻く環境は激変しますので、採用時にも教育時にも適性検査の必要性、重要性は高まっていきます。とくに採用時に営業としての資質を備えている人材なのか、トップ5に入れる人材なのかを見極められる質の高い適性検査が求められると思います。

激変するMRの世界で求められる適性検査

文字通りの激変です。今6万人くらいいるMRが、段階を踏んで徐々にだとは思いますが最終的には半分くらいになるのではないかと思っています。あの薬をジャンジャカ使うアメリカでさえ、MRの人数は人口比で見ると日本の半分くらい。厚生労働省もコストを削って薬価を下げるよう圧力をかけています。では過剰となったMRはどこへ行くのかというと、CSOと呼ばれる、製薬会社へのMRの派遣や医薬品の営業やマーケティング活動のアウトソーシングサービスを提供する企業があるんですが、ここが受け皿になると思います。今までCSOは未経験者をMRに育て、MRが不足している地方へ派遣したりしていましたが、これからはメーカーで過剰となった有資格者たちをいったん受け入れて再配分する仕事をするようになるんじゃないかなと。ここでも適性検査はすごく大事になってくると思います。検査を使ってその人の資質やモチベーションを見抜き、再教育をどうするのかってことを考える必要がある。真っ白な状態の新卒採用と、業界の情報や今まで経験してきたものがすでにいっぱい入っている中途採用では、見抜くべきところも見抜く方法も違うはずなので、検査項目などは違ってくるのかなと思いますが。
とにかく、今まではお給料も高止まりのまま、接待が減るなどの若干の変化はあったもののやり方も相変わらずで、ずっとフラットな状態が続いてきたこの業界も否応なく変わっていきます。人数が絞られ、今まで以上に人間力が求められるようになるのは間違いないので、適性検査などを使って見抜くことの重要性はますます高くなっていくと思います。
少し話は変わりますが、新卒で入ってきたときには超優秀でキラキラしていた子が、10年経ってみると“単なるおじさん”になっていることがよくあります。悪くなるには悪くなる理由が必ずあるはずで、やる気のない中年MRとやる気満々の若いMRに同じ研修を受けさせているとか、だめなMRに照準を合わせた研修になりがちだとか、いろいろな問題点はあるものの、おじさん化する原因はよく分からない。だから、こういう検査は一回きりで終わりではなく、毎年一回受けてもらって経年的に見ていくのがベストだと思います。人間ドックじゃないけど、ここの数値がちょっと落ちているなと、少し悪化したところで自覚できれば、気が付いたときにはすでに“単なるおじさん”だったなんてことは避けられると思うのです。

MRの未来予想図の中で問われる人間力

──人員以外の部分でも何か変わっていく?

人員以上に過激な変化があるかもしれませんよ。ちょっと空想の話をします。たとえば、アバターMR。リアルMRの適性検査の結果が組み込まれ、人工知能を持ったアバターMRが毎日会社からくる情報を編集してネット経由でドクターに送る。ドクターにもアバターがいて、情報分類システムでまとめられた情報をザーッと読んで、役に立った情報には「イイネ!」を押してくれる。「イイネ!」をいっぱいもらえたアバターMRはネット上で成長していく。あるいは、アシモのような人型ロボットが製薬会社から発信される最新情報を自動ダウンロードしながら24時間大学病院の中を巡回し、先生方は必要な情報があればロボットからスマホにダウンロードするとか。MRがただ単に薬を売り込みに来る人、製薬会社のメッセージを持ってくる人なら、アバターでもロボットでもまったく問題ないわけです。ただし、こうした変化が起こったとしても、リアルMRが消えることは絶対にない。なぜなら、基本的に人って人が好きなんです。親身になってくれるMRならやっぱり会いたい。知的好奇心を刺激してくれる、人生を豊かにしてくれるようなMRならいくらでも会いたい。たとえば、わたしは薬の薬名や世に出るまでのヒストリーを調べるのが好きだし、副効用を調べたりするのも好きです。ピルは避妊薬でもあるけれど、ニキビにも効くなんてことを知ると薬が愛おしくなります。そんな話をドクターにすると「お前はなんか仕事楽しそうだねって」みんな話にのってきます。これからは、人間にしか与えられない何かをドクターに提供できるMR、人間的に魅力のあるMRにならないとだめってことです。
わたしは入社してすぐに、何百人もいるMRの中から抜け出して勝っていくには、ドクターと仲良くなって身内みたいにならないとだめだと思い、いろんなことを試しました。最初の頃は不用意に踏み込み過ぎて怒られたりもしましたが、やっていくうちに自分の考えは間違ってないと確信しました。話を聞いてくれて、理解してくれて、適切なアドバイスをくれる親友のような存在って、じつはなかなかいないんです。とくにドクターには孤独な人が多いので、そこの位置にポンと入ってしまえば、周りにMRが10人いようが、20人いようが関係ない。それからはもう快進撃です。そういうことができる人を探しましょうってところで、適性検査は大事になってくるんじゃないでしょうか。

バージョンアップする適性検査で見抜く共感力

──わたくしどもが現在提供しているeF-1という適性検査が11月にバージョンアップしてeF-1Gとなり、思春期と幼少期の2段階で見てきた対人関係の潜在的豊かさを、発達心理学の観点からもっと深く詳細に見られるようになります。

先ほどから人間力という言葉を使ってきましたが、この人間力って、共感力に置き換えることができます。たとえば、営業ではなく好きな人を振り向かせるためのアプローチだと思ってみてください。最初は知らない者同士なのでなかなか振り向いてもらえない。でも、ほんの短い時間でも話せるチャンスがあれば、そこには次につながるヒントが必ずある。雑談の中にこそ宝物がいっぱいある。そうやって少しずつ相手を知り、自分を知ってもらい、好きになってもらう努力を重ねる。もし振り向いてもらえても、恋愛は独りよがりでは上手くいきません。つねに相手が何を考えて、何に悩んで、何に困っているのかを感じ取って、寄り添って、解決策を一緒に考えるつもりでいないとだめです。まさにこれが共感力であり、MRが目指すべきドクターとの関係性だと思います。
また、ドクターは身内意識が強い人が多く、自分の知っている人や周りの人たちと何らかの関係性を築いている人にはガードが弱くなる傾向があります。これも恋愛に似ているかもしれません。ドクターがこのMRは役に立つし人間的にも魅力的だと感じ、さらに自分の周りの人たちともつながっているとなれば、何か言ったら聞いてくれるようになります。最初のところで、MRも他の業界の営業と変わらないとお話しましたが、ここら辺は少し違うところかもしれません。少し話はそれましたが、MRで活躍しようと思ったら共感力は非常に重要なファクターなので、保護者の愛情をたっぷりと受け、共感をつかさどるミラーニューロンがしっかり活動しているというのが適性検査で分かるとしたらすごくおもしろいですね。
わたしがMRになった頃と比べてドクターのクオリティは変わってきています。昔は「自分が貧乏で治療を受けられなかったから、困っている人たちを助けたいんだ」なんてことを言う熱血漢タイプのドクターがけっこういました。でも、今ドクターになるには莫大なお金がかかるので、ほとんどが3世、4世。特徴として、見た目はソフトで中身はドライ。対人スキルに少し問題を抱えているのかなという人もけっこういる。MRの方はどうかというと、こちらも同じような感じなので、関係性を築くのはどんどん難しくなってきています。もちろん、スキルやテクニックで補える部分もありますが、それ以前の資質の部分が今まで以上に重要になってくるのは確かです。自分の弱み、強みを見抜いて、理解した上でなければスキルやテクニックをアップするための訓練も成果を期待できないので。ですから、適性検査のバージョンアップにはとても期待しています。

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