お客様とプロの声

さくら情報・Sansanの採用最前線’20へ
第22回「個と組織の進化を考える会」
第1部 大学生と企業のマッチング ダイジェスト版

2018/12/11

  • 語り手 株式会社イー・ファルコン 代表取締役 志村 日出男氏
    株式会社i-plug  代表取締役 中野 智哉氏
    さくら情報システム株式会社  人事部 宇治原 光博氏 Sansan株式会社  人事部 伊東 敏氏

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

開会の挨拶 株式会社イー・ファルコン 代表取締役 志村日出男

本日は足元の悪い中にもかかわらず、多くの皆様にご来場いただきまして、誠にありがとうございます。

弊社イー・ファルコンのこれまでの歩みを振り返ると、何度か転機がございました。まず1995年、私共の創業の前身では、多くのHRベンダー様に対して受注生産型で診断テストを開発し運用するという役割を担っておりました。世の中にある現実の職に即し、特に求職者の支援のために、一人ひとりが持っている適性を特定する。人の言語を丹念にコツコツと築いていった10年であったといえます。

次に、法人企業に役立ちたいという志で2000年に創業し、2005年よりこれまで築いてきた人の言語を統合的にまとめながら独自のパーソナリティアセスメント(eF-1)を世に出し、企業様への支援を行いました。受検者は200万人に達し、人の言語の体系を磨き始めていった10年間でありました。

そして2015年頃を境に、多くの日系企業のグローバル展開に基づき、日本で提供している支援の中身を海外主要都市においてもという声に応え、今では日本から東アジア、東南アジア、北米に対してグローバルにサービスを提供させていただいております。
時を同じくして、二つの大きな出来事がございました。一つは、ダイレクトリクルーティングの騎手である㈱i-plug(大阪市淀川区創業)との出会いで、業務提携を経て今年3月には資本提携へとつながりを深めています。

もう一つは、「成長の因果」のプロジェクトであり、人間が過去から現在、現在から未来にわたって成長していく理由はどこにあるのか、成長の原因と結果を理論化し、実践化してあまねく世の中に役立っていくというものです。今は、これまで築いてきた価値をより世界へと展開しながら、その価値をさらに深めていく、次の10年へと入っております。

「進化の会」本日のプログラムは、「成長の因果」第三章“成長し続けるために”を掲げております。翻って考えると、第一章は個や組織のファクトに向き合いながら、その現象の向こうにある本質を見つめぬいていくステージ。続く第二章はそれを受け、ファクトの向こうで見出したものを新たなセオリーとして導いていくステージ。そしていよいよ第三章は導きだしたセオリーに基づき、個と組織の現実に立ち返り、価値を創造していくステージに入ってきたと申し上げられます。

新たな人材観、人間観に立脚しながら、今から未来へ多くの方々が自らを創造していく、理論から実践に展開する第三のステージが今日の主題となっております。

※第二部「成長の因果」は1月配信予定の「新春対談」でお届けいたします。

開会の挨拶 株式会社i-plug 代表取締役 中野智哉

イー・ファルコン志村社長との出会いは、先ほどのお話にあったグローバル展開の時期の少し前、2013年です。弊社は、離職率が3年で3割というミスマッチの多い就職活動の市場を変えていきたい、さらにいうと、若者たちの未来を明るくするような事業、理想をいえば、自分たちの子供たちに使ってもらえるようなサービスを提供したいと、2012年に創業しました。その出会いをきっかけに、その後、両社の今日までの歩みが好調にスタートしています。

弊社は新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービスの「OfferBox」を展開していまして、企業が直接学生に声をかけるオファー型採用によって、今のミスマッチを少しでも軽くしていきたいと考えています。サービスをスタートして大きな課題だったのは、ミスマッチとは何なのかということでした。在職、離職の2つの軸だけでマッチングを図っていいのかと、なかなか結論が出ませんでした。

現在は在職・離職の軸だけではなく、入社後組織に入り活躍する・活躍しないという2つの軸を用いた、4つの象限があるのではないかと考えています。一番いいマッチングは在職して組織で活躍している、その次は離職してしまったが過去は活躍していた、さらに離職してしまったが活躍していなかった(合っていなかった)、一番悪い状態といえるのは在職しているが活躍していない、というものです。離職率よりも重要なことは、未来に向けて活躍する・しないというところを予測しながら、出会いを表現することではないかと思っています。今後、イー・ファルコンさんとやっていきたいことは、入社後活躍することを予測した出会いを生むような価値をいかに提供していくかということです。

一方で、入社後に活躍できるかどうかという予測は若者にとってもうれしいはずで、就職したいと思う企業であっても、そこで活躍できないということが分かっていれば、それはあまりワクワクしないものです。もし、ある企業で活躍するために求められる素質や要素が、就職活動時でもなく、大学1年生や高校生の時から分かり、こういう人になりたい、このような仕事に就きたいという願いを持って、日々の成長を歩んでいくことができたら。どういう経験によって人は変化していくのかということも踏まえて、自分でつくりたい未来を歩んでいく、歩みながら企業との出会いの機会を活かすという世界を両社でつくっていきたいと考えています。

今日は両社取り組みのファーストステップです。皆様のご指摘をいただきながら、今後もさらに改善を重ねていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

事例1)オーディション型採用での見極めの確からしさと採用のPDCAづくり<br>内定辞退を低減させた期待要件と“らしさ”要件とは?<br>~活躍する人材の採用と育成・定着の秘訣~<br>さくら情報システム株式会社 人事部 宇治原光博氏

抱えていた課題とイー・ファルコンとの出会い

イー・ファルコンとの出会いはさかのぼると8年前になります。その時に弊社では、採用を考える際に、理系人材を採用しようか、文系人材を採用しようかという議論が行なわれていました。また、採用選考時においては、面接官の勘と経験に頼った選考が行われていました。私の採用のイメージとしては、将来就業したい会社の選考を受ける、そこから最終選考を経て内定の通知をもらう、すると普通承諾するだろうと思うわけですが、実はそんなに甘くなく、辞退も承諾も数多くありました。当時簡単ながらも仕組化されていた採用を一から見直さねばというところからスタートしたのが2010年(2012年度新卒採用)のことでした。

スタート当初は、人事、学生、社内で共有できる「社会人基礎力」というキーワードを用いて議論を行いましたが、結局出来上がった求める人材像は、こんな人どこにいるのかなという神スペック人材になっていました。それがどこに影響したかというと、選考です。確認する項目が非常に多く、エントリーから役員面接終了するまで段階を経て少しずつ確認していくので、その人が欲しい人材なのか否かは最終面接が終わるまでわからないのです。結果、定量的には人材確保することができましたが、なぜ通過したのかが分からない。優秀層はいるのか、ミスマッチは排除できているのか、合格の基準は明確なのかというところに疑問符が付く結果となりました。

理系文系の議論と、採用基準が明確化されていない採用選考、これらに決着をつけたいとイー・ファルコンさんとの取組みが始まりました。

会社の背景

さくら情報システムという会社は、1972年以降、親会社である銀行の統合合併と再編をITで支えることを一貫して取り組んでいます。また、2008年からは親会社がガス会社(大阪ガスグループのオージス総研)と銀行(三井住友銀行)というユニークな組み合わせとなり、相乗効果によって、最適化や効率化が進んでいます。

サービス導入と人材要件定義

まずは、人事が想定した通りの年数で出世していっている人たちをベースに、イー・ファルコン社の適性検査eF-1Gを用いてハイパフォーマー調査をしていただいたところ、上位2割のハイパフォーマーは理系文系問わずに存在しましたが、ローパフォーマーについては文系の方が陥りやすいという結果に至りました。文系6割の会社なので、結果としては衝撃的なものでしたが、理系人材か文系人材かという議論には決着がつき、理系を中心に採用していこうという方針が出ました。

また、ハイパフォーマー調査の結果、上位2割、将来のリーダー層、幹部候補の持つ特徴としては、働きかけ力、創造力がある人。逆に採用してはいけない、当社のローパフォーマーに留まっている人の特徴としては、他人依存、八方美人、つまり人によって態度が変わってしまう人という要素を抽出することができました。下位でも上位でもない人の特徴としては、前向き、初心、誠実、柔軟というキーワードがあります。ボーダーとしてはネガティブ要素が低い、かつ合格要素を持っている人がラインに上がってくる、加えて優秀層が2割程です。これで学生に伝えるメッセージが明確になりました。

適性検査で確認したいことはたくさんありましたが、カスタマイズを通して、分析結果からみえたさくら情報システムで重視する8つの項目だけが確認できる面接シートを作っていただきました。その結果、先ほどは定量的な人材確保でしたが、今回は各項目の偏差値50以上の、量と質共に良い人材を採用することができました。

【イー・ファルコン執行役員・水須より適性検査「eF-1G」の説明】
ナンバーワン、オンリーワン、トップクオリティを特長にしています。業界随一の194の視点で、広く深く人物像を探ること、さらに人の特性は一瞬を切り取ったものではなくて成長を遂げていくと考え、その動的な内面変化をくまなく見て行こうと開発されたもので、導入によって「らしさ」の棚卸を提案しています。

新たな課題と向き合い、PDCAを回し続ける

しかしその後、学生さんのストレス耐性は年々下がっていき、それまでの基準通りでは通らなくなってきました。また、時代の変化を通して人材要件を見直す必要があるというのも、ブラッシュアップのきっかけになったと思います。さくら情報システムが求めている人材を特定するのが主題ではありますが、IT業界がめまぐるしく変化し競争が激化する中でそれだけでは不足していて、IT業界全体として求めている人材を特定する必要もあり、これを特定するために再調査の実施をしました。社内では当社が持つらしさはIT業界のハイパフォーマーとはずれていてもいいという議論がありましたが、より詳しく分析していただいた結果、トップ10%という単位で割り出すと、IT業界のハイパフォーマーの持つ要素の中にもさくら情報システムらしさが含まれていることが分かり、ホッとした次第です。これが今年度の新たな人材要件です。

適性検査eF-1Gをフル活用する

当社の新卒採用の選考プロセスは、各段階で適性診断を活用しており、説明会、適性検査、個人面接、次に役員面接の前には社員交流会を行い、これまでの選考のフィードバックとして、「ハイパフォーマー8」の中でどこが際立っているかに着目してもらいます。そして役員面接では自分の強みを語っていただき、社員交流会(入社意思を固めるサポート)では、適性診断におけるネガティブ要素も研修で克服できることを伝え、内々定の研修の際には一人ひとりの内定者情報をグループ内で共有しています。
最初の説明会では、学生さんが評価してほしいポイントごとに、テクニカルコース(プログラミングを評価してほしい)、スピードコース(いち早く4月の入社までに自分を成長させたい)、アクションコース(じっくり社員と向き合いながら自分の価値観と突き合わせてみたい)と、3つの選考を用意し、選べるようになっています。

採用担当としての心得と、今後に向けて

採用担当の心得としては、感覚ではなく、FACTをおさえて、PDCAサイクルを回す。学生の力を信じ、向き合う。さらに、次年度のようにスケジュールの変化などがあっても、変化に柔軟に対応する。さくら情報システムはこういう人を求めているという人材要件が既に抽出されていたことでアドバンテージがあったかなと思います。
今後に向けては、技術的な専門性の確認が必須になってきます。今の学生さんはデジタルネイティブという言われ方をしていて、iPadなどITと親和性の高いデバイスを常日頃から使いこなしているので、それと同じ目線であってはいけない。デジタルネイティブに対して評価すべきことは何なのかをしっかり確認する必要があると思います。
あとは「全員採用」です。採用担当だけが前に出て話すのではなく、社長から内定者まで、いろいろな側面を見てもらって、会社を知ってもらう必要があると思います。昨年度から、さくら情報システムのキャラである「さくたん」も導入し、社員キャラ全員をあげて採用していこうと考えています。

質疑応答セッション

聞き手:㈱イー・ファルコン 執行役員 水須明、会場
※さくら情報株式会社 宇治原氏の詳しいご登壇・質疑応答セッションは、12月下旬配信予定の詳細報告をお待ちください。

事例2)オファー型採用による企業と学生のベストマッチング<br>勘と経験から、人事データを活用したPDCAサイクルの構築へ<br>Sansan株式会社 人事部 伊東敏氏

会社概要と自己紹介

Sansan(さんさん)は、テレビコマーシャル「それさぁ、早く言ってよ~」で話題になっているので、ご存知の方もいらっしゃると思います。2007年創業で、取り組んでいるサービスとしては、法人向け名刺管理サービス「Sansan」(7000社の導入)と、個人向け名刺アプリ「Eight」(登録者数200万人超)があります。これらのデータベースを活かした新規サービスの取り組みを始めていまして、3つめ、4つめのサービスが今年から出始めています。
海外に支店ができたりする中で、社員数も直近2年間で2倍に拡大していまして、10月初め時点で社員数が430名となっています。中途採用は毎月10から15名、新卒採用は毎年10名強という形で、採用人数はこれからも増えていく計画です。

私自身は、2013年に新卒でSansanに入社しました。営業部、マーケティング部を経て、2015年から人事部へ異動しました。人事経験としてはまだまだ未熟な部分がある中でお話するのですが、新卒採用を主に見てきた中で課題に感じてきたことをきっかけに採用企画チームを立ち上げまして、そこでは新卒と中途それぞれに共通した課題を一緒に解決できるような取り組みを行っています。2015年当時はシーズンが来たので説明会でもやるかという感じで新卒に対応しており、当たればよい人が来るというような状態だったのです。

採用への想いと課題

採用企画チームの具体的な想は、以下3点です。一つ目は、これは採用の究極のかたちだと思いますが、採用人数にしか会わないということです。つまり10人採用なら、10人にしか会わない。実際には無理なのですが、これに近づくにはどうしたらいいかという視点でチャレンジしています。二つ目は、採用がゴールではないということで、事業成長を加速させるために活躍できる人材を採用しようということです。三つ目はデータを活用した人事戦略ということで、この会のメインテーマでもあると思いますが、人を活かしていくという意味では採用というのは一つのプロセスでしかないので、俯瞰して全体の戦略にどうデータを活用していくかということが大事になってきます。

このような想いを持ちつつも、現場ではいろいろな課題がありました。一つ目が、面接評価時の曖昧なコメントです。当社の採用はゆるく始まり、創業間もない会社なので今年も10人位からだったのですが、共通コメントとして「イケてる奴を採ろう」、面接で不合格な人には「(いい奴なんだけれど)なんか普通だよね」、「尖っていない」。IT業界でよく使われるコメントだと思います。理想をあげていくとスーパーマンのような人しか採れないという状況になっており、「どういう人を採りたいか」が曖昧でした。

また、面接評価と実パフォーマンスの相違がありました。面接評価が大変良かったとしても、実際に入ってみると期待通りではなかったり、上司との相性が合わなかったり、という問題がありました。入社後、パフォーマンスが出ない理由は、個人の問題なのか組織上の問題なのかというところです。以上の課題をまとめると、勘と経験が先行し人材要件定義が曖昧だったということ、それによって「採用」と「活躍」の定義や、現場の社員と人事担当の感覚値が乖離してくる、すると採用現場が疲弊してくるという状況がありました。

問題解決のために取り組んだこと

このような課題を解決するため、まずは人材要件定義の策定というところで、全社員へのアセスメントを行いました。また弊社らしいのは、マネジャークラスへのヒアリングをかなり行いまして、各事業部の現場を見ているマネージャーに高いパフォーマンスを出すために必要な要素について各1時間強聞くということを全部で10人ほど行いました。さらに、アセスメントで出てくる定量的な結果と、マネージャーからのヒアリング結果を重ねてすり合わせるというディスカッションに時間を費やしました。当社は営業系とエンジニア系と大きく分けて二つあるのですが、職種や新卒中途などは関係なく、共通して持っている要素や共通のハイパフォーマーの特長を定義していくかたちになりました。経験や勘のようなところも多少バッファーを設けつつ行っていったというところです。

次に、タイプを絞ったアプローチというところでは、「OfferBox」を使用しました。「OfferBox」経由で採用活動をおこなった内定者と落選者の比較分析結果をもとに独自の検索エンジンを搭載。この検索軸をもとにしたアプローチを今まさに実行中です。現在、70%位が一次面接を通過しているので、とても順調な滑り出しだと思っています。これまでの内容をまとめますと、捨てる勇気のラインをどこに持つかということです。選考で見るポイントと入社後のフォローで育てるポイントを明確化させ、現場のマネージャーと共通認識を持つことが大事になっています。

結果と今後の方向性

結果としては、ターゲット人材&求める要件と実際をきめ細かく図式化しています。これはインタビューを受けて先月に掲載されているものですが、「OfferBox」経由で1次面接を受けた学生の内定率が2倍、そしてそこにかかっているコストの採用単価は4分の1に削減しています。当社の2019年度末採用の半分以上がスカウトで決まっています。

今後というところでは私個人の想いが強い部分ではありますが、People Analytics(ピープル・アナリティックス)の分野を強化し、データドリブン(データを可視化して問題解決に結びつける)な人事戦略を構築したいというところがあります。それはタレントマネジメントをうまく循環させていきたいということで、まず今日お話しした〈要件定義〉〈アプローチ〉〈選考〉があります。〈要件定義〉は新卒中途に関係なく会社に必要な土台となる要素ですが、選考を詰めていく中で可変なものや追加されるものもあるので、ポジション別で出来ればより望ましいと思っています。実際にこういう人を採用したいという人に対して〈アプローチ〉をしていくわけですが、マスでもスカウトでもしているので、データを活用しながらその分析をきちんとしていくということですね。〈選考〉の過程においては、その学生のタイプに応じた訴求の仕方が出てくるので、面接官の相性、また面接官とコミュニケーションをとりながら人材要件定義の運用も柔軟にできたらいいと思います。さらに〈配置〉〈育成〉〈評価〉ですが、〈配置〉は上司との相性の問題や足りないところを補完し合う組み合わせなど分かってくると戦略的な配置が可能になると思いますし、新卒が中心となる〈育成〉では、選考で見ない部分や伸びしろを明確化させ、制度設計に落とし込んでいくことが必要です。最後の〈評価〉は先ほどのハイ・ロー分析と、選考時とのギャップが重要だと思っています。ギャップを修正し分析していくことで、そこから要件定義が作られるという循環ができると思います。

◆セッション
聞き手:㈱i-plug 取締役 直木英訓

直木:私は営業担当役員なので、いろいろなお客様から勘と経験の採用から脱却したい、そのためにデータを活用したい、データはあるけれどもなかなか使えないというお話をよく伺うのですが、データを活用した採用システムを導入し確立していく上で何かコツというものがあるのでしょうか。
伊東:最初にそんなに小難しいことをしないということが大事かなと思っています。例えば大学の偏差値と面接通過率が本当に相関があるのか、学部の違いに相違があるのかとか、ちょっと気になることから始めてみる。こういうものを分析し始めるといろいろな広がりがあって、全体を俯瞰して見られるようになります。一番重要なのは探求心で、最初の入り口は緩やかでいいと思います。
直木:例えば、どんな項目と評価や活躍が相関しているというのはありますか。
伊東:大学別の面接通過率を見たことがありますが、意外に中間グループの大学の方が通過率が高いというのがあって、スカウトの参考にしました。
直木:データを分析していくと、どんどん俯瞰していって、採用以外の課題も見えてくるということでしたが、もう少し具体的に教えてください。
伊東:一般的に言われていることとして、面接で人を見極めるのには限界があるわけですから、採用と実際のパフォーマンスが相関しないケースは十分にありえます。そういうケースはアセスメントで見た時に共通点があるのではないかと考えています。また、もっとさかのぼってチャネルのところですが、何経由でSansanを知ったかというのも影響しているかもしれない。こういう分析はやらなければいけないというモチベーションでやると、普通の結果しか出ないのではないかと思っていて、もっと見ていきたいという欲求でやっていくと意外な気づきがあるものなので、切れなく探求心が持てる状態にすることが大事ですね。

◆会場との質疑応答

会場1:Sansanさんは創業当初は尖った人たちが集まって成長してきた企業と拝見していますが、どこかのタイミングでモードチェンジが必要になってこういう取り組みをされているのではないかと思います。経営者がどのような場面、どんな課題感で取り組みを始められたか、背景を教えてください。
伊東:経営から降りてきた課題というよりは人事の中で出てきた課題としてあります。新卒採用の時期になると、そもそもSansanで活躍している人はどんな人かとか、そういう疑問を毎年言っている割には動いていなかったということから、これはやろうという号令を私が切ってやったという感じです。採用を戦略的に伸ばしている時に、それまでのやり方ではなく、採るべき人を共通言語化することが必要になってきたのです。

会場2:スカウトサイトの運用について教えてください。
伊東:業務に当たっているのは専任ではないですが、私も含めて3人。全部で4つのツールを使っています。サイトによって狙う職種を決めているのですが、スカウトサイトの運用は私自身もいろいろ試してやってきた中で、こうすれば決まるなというのが分かってきました。3年前、「OfferBox」を初めて使った年には採用できなかったのですが、そのうちに採用できたことを機にきちんと分析するようになりました。スカウトサービスを使うに当たっての目標を置き、承認率の現状と合わせながら週1位で各担当とコミュニケーションをとっていく、もう一つは受け取る学生にどのように映るのか(タイトルだけなのか、本文も見えるのか)というのも知っておくべきだと思います。

会場3:人事部の課題として気づかれたことを、会社全体巻き込んで進めていくというのは、結構エネルギーのいることだと思いますが、そこがうまく出来た要因を教えてください。
伊東:そう簡単にはいかなかったというのが正直なところです。会社を巻き込む時に欠かせないのは、採用が重要であるという共通認識を持つことです。定着してより活躍してくれる人が欲しいですよね、そのためには過去の資産や知識、今の社員のパフォーマンスが分かればということを説明しながら、「やります」と言い切った感じでしょうか。特効薬があるわけではなく、大目的をいかにぶらさずに言い続けるかです。

直木:本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

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