お客様とプロの声

18採用の学生傾向について
~学生の特性からみた採用後に考えるべきこと~

2017/06/06

eF-1G
  • 語り手 株式会社イー・ファルコン
    R&Dリーダー 増尾 明彦

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

はじめに

昨年の17新卒採用と同じく、18新卒採用選考も6月1日から開始となり、各企業での活動も佳境を迎えている状況ではないでしょうか。
また、卒業年次以前の学生を対象としたインターンシップを実施する企業も年々増加しており、現在進行形の18採用と並行して、19採用に向けた様々な協議を開始された企業も多いのではないでしょうか。
そこで、昨年に引き続き、2018年度新卒採用選考において適性検査eF-1Gを受検した学生の結果から18採用の全体傾向とその考察を報告いたします(対象期間:2016年12月~2017年5月中旬)。

性格特性の比較

17採用と18採用での性格特性を比較したところ、昨年の16-17比較の際と同様に、両者間で顕著といえるような変化は認められませんでしたが、近年学生全般にみられる傾向としての、他者との関係性を丁寧に築き、相手やその場に適した振る舞いをするという特徴は引き続き認められています。自分を前面に出すのではなく、相手の思いを忖度し、自燃ではなく他燃から生じる行動もその特徴の一つといえます。

一方、目立った差がない中でも違いがみられた項目として、「基本特性 能力特性(基本的な行動に現れる能力特性)」や「自己形成を支える経験の豊かさ(5つの発達段階における経験の豊かさ)」が、17採用と比較し全体的に下がっていることが明らかになりました。

これらの特徴から、素直さやひたむきさを持った人当たりの良い人材像が浮かぶ一方で、青年期にかけて失敗を顧みずに挑んだ経験の希薄さがみられ、自身の内から湧き出る思いや意志が弱まっている傾向が認められます。ここから、自ら先頭に立ち周囲に影響を与えて進んでいくよりも、他者を立てて周りから関わっていこうとするフォロワーシップの意識が高まっているのではないかと考えられます。

また、ストレス全般に対峙する力を表す基本ストレス耐性がやや弱まっています。この特性は経験の積み重ねによって強化されるため、この結果の背景の一つとして身体で掴む実体験が乏しくなりやすい現代の生活環境の変化が考えられます。

経験が不足する学生の背景

18採用に向けて就職活動を行っている学生の多くは、小学生の頃から到達度を基準とした絶対評価で成績がつけられています。50人いれば1番から50番までの順位が決まる相対評価とは異なり、50人全てが1番にもなれる絶対評価の下、さらに、最終的な成績評価もテストの点数に表される学力だけでなく、関心・意欲・態度などの様々な視点から総合的に判断されることで、例えテストの点数に自信がなくても他の評価が高ければ好成績を取ることも可能なため、これらが相まって児童期以降の互いに競い合い切磋琢磨するという経験が弱くなっているとも考えられます。

さらに、大学のAO入試・推薦入試枠は年々増加傾向にあり、文部科学省の調査では、18採用の中心となる14大学入学者全体の40%以上がAO入試・推薦入試で入学しており、私立大学に限るとその割合は50%にのぼります。良くも悪しくも、学力という一つの物差しに沿って目標に向かって競い合うことが必要とされてきた大学入試においても、物差しが多様化されたことで絶対的な努力が求められなくなってきたといえます。

また、別の側面として、現在、多くの学生にとってスマートフォンがあらゆる場面で必要不可欠なアイテムとなっています。実際、学生に聞いてみると、スマートフォン一つで、ストレス発散、不安の解消、コミュニケーション、暇つぶしなど何でもできると感じているそうです。SNSでは実名を明かすことなく、いくつものアカウントを作ることが可能なため、フォローする相手やつぶやく内容により複数のアカウントを使い分け、時にストレス発散のツールとなっています。

また、インターネットで検索することが癖となっており、わからないことは何でも「Google先生」に答えをきくことで問題を解決しようとします。就職活動においても、「自己PRの書き方」「好印象を与える方法」などのHow-toサイトや学生同士で企業の採用状況の情報のやり取りを行うなど、あらゆる手段を使って「答え」を探り、安心感を得ようとします。そのため、本来であれば自ら問題と向き合うことで大きな「経験」が得られる場面でも、自分で考えることなく「答え」をインターネットから見つけ出すことで、問題と対峙することを回避する傾向が見られます。

内面を鍛える経験が減ることの意味と面接での留意点

コルブの「経験学習サイクル(Kolb, 1984)」は、企業の人材開発担当者の間でよく知られています。

1.具体的経験 (Concrete experience)
2.経験の観察と内省 (Observations and reflections)
3.抽象的な考えの構造化と一般化 (Formation of abstract concept and generalizations)
4.新たな状況への適用、試行 (Testing implications of concepts in new situations)

この4つのプロセスを順番に連鎖させ繰り返す、経験からの学習を説明する理論です。この理論が知られるのは、大人の学習条件「主体性を保証すること、現実の問題を扱うこと、発話を伴うこと」(高木・竹内、2006)にもあるように、「仕事における経験」と「学習」が密接に繋がっているからかもしれません。

さて、パーソナリティに行動の一貫性が形成される過程でも「経験」と「経験からの学習」が大きな役割を果たしています。社会人になる前の様々な経験は、社会人のパーソナリティ特性に直接影響を与えていますが、それだけでなく、社会人になって新たな経験を積むことの事前学習にもなっています。自ら多くの経験を積み的確に学ぶことで、社会人になってからも主体的、自律的に新たな経験を積み学習する人材になれるのです。

一方、社会人になる前の経験が乏しい場合、経験を積むこと自体の学習が必要になり、企業における初期教育の難易度と重要性が増すことは想像に難くありません。

18新卒採用就職活動者の傾向では、他者との関りの傾向を示す関係系特性が17採用応募者と同様に他の特性と比較して高めの数値を示していて、他者と関わりに長けている特徴が読みとれますが、自己形成を支える経験の指標が低下していることは、入社後の経験学習と経験学習による人材の成長に少なからず影響があると言えるでしょう。

このような状況下で、採用担当者に求められるのは、面接時に発達段階におけるエピソードや経験を正しく確認する方法を構築することです。

適性検査eF-1Gは、「自己形成を支える経験の豊かさ」が確認することができる唯一の診断 です。

例えば、自己効力感の確認では、「あなたがこれまで頑張ったことを教えてください」と言う事実の確認だけでなく、「なぜ頑張れたと思いますか?」「そのとき周囲の人とどう関りましたか?」など、経験の意味づけや他者の力をどう用いて頑張ったのか確認することが大事です。

特に「他者の力」に関しては「感謝」だけでなく「敬意」を払っている(自尊と他尊がともにある状態)か確かめましょう。

同様に、計画的有能感では「自ら計画を立ててやりきったこと」、自己同一性では「葛藤と向き合ったこと」についてもその経験の意味づけと他者の力の有無を確認しましょう。

企業側の課題として浮上する“リアルな体感”に基づく育成

ここ数年、人事担当者から発せられるキーワードとして「最近の学生は、とても素直な印象を受ける」ことや「人当たりは好印象だね……」など、良い印象の上位は“ひとなつこさ”“人の良さ”に関わる感想を耳にする機会が増えています。その一方で、「プレッシャーに弱い印象があるな……」とか「変に失敗を避けようとして、芯がないような……」といった嘆きともいえるコメントが同時に増えている実態もあります。

こうした観点を読み取るために、基本特性の変化に着目すると、「誠実性」や「協調性」「献身性」といった「関係系特性」の要素は比較的変化が少ないといえます。これは“人に対して気持ちよく接していこう”という意識や振る舞いに関係する要素でもあり、「素直な印象を受ける」ということを裏付ける結果として表れていると考えられます。

一方、「主体性」や「向上心」、「積極性」といった「自己系特性」の要素と「自己形成を支える経験の豊かさ」の各要素が年々下降傾向にある中、特に「自己形成を支える経験の豊かさ」における「自己同一性」が弱まっていることが判明しています。これは、“深く悩まずに軽やかに捉える”という側面と共に、ともすると“苦しいことを避けて通る”という要素が増大している、という解釈も成り立つことになります。これは “人当たり良く軽やかな印象”を説明づける反面、“芯が無い印象”を裏付けてしまう結果ともいえます。

更に、「慎重になりすぎる傾向」が高まっているのも特徴の一つとなっています。加えて「基本ストレス耐性」が弱まっている事実を総合的に分析すると、「チャレンジしてみる」「プレッシャーを受け入れる」観点とは対極にある要素と考えられることから、“苦労を伴うことは、慎重に判断する”“あえてリスクテイクしない”といった心理的な制御が徐々に増大している可能性も浮かび上がってきます。

育成面で大切なのは、一人ひとりに適したテーマを与え、乗り越えさせる……という要素を抜きに語ることはできないことは言うまでもありません。ただ、こうした傾向が強まる中、“個々に応じたストレッチ目標”をどのように設定し“適切な経験をいつのタイミングで与えるのか”という実践的で着実な育成テーマを掲げていくことに、十分な吟味を要し、取り組んでいくことは必要不可欠であるといえるでしょう。

ある企業担当者からは「知っていることは多いが、実際にやらせてみると意外と完成度は低かったり、出来ないとすぐに諦めてしまう若手が多い……」といった悩みを聞くケースが増えています。“知っている”ことを“どう理解・納得”させ、そこから“どのような経験”をさせて“リアルな体感を得させるか……”ということが、益々重要なテーマになっていると考えられます。知識ではない“考えて、苦労して生み出す”といった頭と心と身体を連動させるケーススタディや、本人だけが得られる体感知を演出し仕掛けていくことが急務と考えられます。

採用活動は入社が決まればゴールということではなく、そこから一人ひとりの成長を促していく長い長い挑戦の始まりです。どのようにして目標を定め、経験を与えていけばよいかを考えるための手がかりとしても、適性検査eF-1Gはご活用いただけます。

例えば、キャリアを考えるためのシートeF-1Vは、個々のキャリアビジョンに従って、求められる力と不足している力を確認して、個に応じた育成計画の策定ができるようになります(eF-1VはeF-1Gの結果から出力可能です)。適性検査eF-1Gを採用場面だけでなく入社後もご利用いただくことで、採用から入社後の育成や配属、昇格まで終始一貫した視点で個人の成長を見つめることが可能になります。

私たちイー・ファルコンは、お客様の未来を創り出す人材を見極めるお手伝いをするだけでなく、その力を十二分に発揮していただくためのご支援も含め、人と組織の成長・発展に様々な形で取り組んでまいります。

【出典】
Experiential Learning David a. Kolb 1984 P.21
高木晴夫著監修 竹内伸一著 『ケースメソッド教授法入門 理論・技法・ココロ』 慶應義塾大学出版会 2010 P.126

まずはお気軽にお問い合わせください。

その他の記事