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17採用の総括と18採用を勝つためのポイント
~人事採用担当者の質が勝敗を大きく左右する~

2016/06/23

  • 語り手 中央大学大学院戦略経営研究科
    ビジネススクール
    客員教授 楠田 祐氏
  • 聞き手 株式会社イー・ファルコン
    採用選考支援ユニット
    副リーダー 瀬戸 美咲

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

採用担当側の目利きが問われている

瀬戸:今年はインターンシップやダイレクトリクルーティングなど、例年以上に工夫を凝らして採用活動に臨んだ企業が多かった中、それでも予想以上に苦戦している企業が多いように見受けられます。17採用を振り返ってみるといかがでしたでしょうか。

楠田氏:企業の採用活動の面でみると、この17採用は、《言葉の多様化》と《採用関係者の二極化》という言い方でくくれるのではないかと思います。近年、「面接」が「面談」になったり、「倫理憲章」が「指針」になったり、言葉の使い方が多様化することによって、その言葉を巧みにかいくぐって採用活動する企業が増えたのではないかという感想です。

売り手市場なので企業側が悪戦苦闘しているというわけで、今、採用ビジネスを行っている就職支援の会社や人事採用支援サービスがタケノコのように出てきています。エントリー学生の振り分けやインターンシップなどのサポートは、大きな組織だけではなく個人でもできるので、採用ビジネスに関わる人たちが相当増えたという印象です。彼らの傾向を見ると、もともと企業で採用担当だった人がスピンアウトしてやっている人、そもそも就職できずに自分で事業をおこしてやっている起業社長もいます。企業の採用担当者にとって、どことパートナーとして組むかという目利きが今ほど求められていることはありません。

また、企業の採用担当者の質も、大きく二極化しています。採用担当者が、面接に来ている学生に対して、「君」付けする人がいるのが気になります。これから社会に出ようとする、将来の社長候補に対して「君」と呼ぶのはいかがなものかなと思います。言葉遣いというのは重要で、言葉遣いのうまくない人は人事に向いていないと思います。「学生を選ぶ」ことが重要なのは言うまでもなく、「採用担当を選ぶ」企業の人事も重要になってきているのです。

6月1日で即刻終了。一方で秋採用も

瀬戸:17採用では昨年からまた選考時期が変わりましたが、企業や学生の動きにはどのような変化が見られましたでしょうか。

楠田氏:この3年間で採用の時期が3回変わりましたね。15、16、17採用は時期がそれぞれに違う。選考開始時期の統制という仕組みは崩れていいのでないかと思っても、幹部は立場的にダイレクトには言えないというのがありますが、現実的には崩れているわけです。「6月1日、玄関開けたら2分で内定」――これはある採用支援会社の人が話していたことですが、まさに今年の標語です。人気企業の担当者に聞いても、6月1日ですべて終わったというところが多かったですね。

瀬戸:それでは選考は短期化したと言えるのでしょうか。一方では、昨年に引き続き内定辞退に苦しんでいるという声もよくうかがいます。学生と企業、それぞれ今後どのような動きが考えられますか。

楠田氏:そうですね、6月末時点でどうなっているかというと、驚くような上位校(特にマンモス校)の下の方の層が内定をとれていない。売り手市場の短期決戦で企業があせったことによって、おこぼれ上位校が出てしまったということです。

ただ、人気企業上位でも辞退は出るといわれているので、今後は内定フォローなどで一人ひとり目をかけないといけないでしょう。その目のかけ方も、例年以上に質と量をあげないとダメだろうという見方をしています。早く内定をもらっている学生も、別のところにリスタートするという動きが始まりますね。6月1日にすべてが終わったといわれながら、一方では6月下旬の段階でもまだ多くの学生が面接に来ているのが見受けられます。しかも優秀な学生のようです。

この様子では夏やお盆頃にかけてもこの状況が続きそうで、10月1日の内定式までは浮気者が多く出てくると予想されるので、秋採用を実施する企業もだいぶ出てくるのではないかと思っています。

学生をもっと細かい画素で見るべき

瀬戸:17採用も、内定式当日までまだまだ気が抜けないですね。多くの企業が採用で苦戦している理由はどこにあるのでしょうか。

楠田氏:触れておきたいのが、昨年、一昨年に入社した人々がけっこう辞めていますが、第二新卒市場に対する企業の採用担当者の考え方は二極化しています。それをチャンスとして受け入れようというダイバーシティが浸透した会社と、もう一つは「1、2年で辞めた人たちはメンタル弱そうだから、採らない方がいい」というような考え方の会社。特に後者は、採用担当者が相手に対してレッテル貼りをし過ぎですね。そもそも企業が求める人材像を明確化せず、当社に合う合わないの見極めを属人的に行っているためにミスマッチがおこっている。ミスマッチによる早期離職を防ぐために、当社で活躍する人材、定着する人材の定義が必要です。 そういうことを考えずに、「辞める人はメンタルが弱い」と一緒くたにしてしまうのは、採用する側もされる側もチャンスを逃してしまいます。必要以上にレッテルを貼らずに、もっと細かい画素で人を見るべきですね。

瀬戸:確かに採用した人材の「定着」は課題ですね。当社になじむ人材を見極めるためには、一般的に優秀か・優秀でないかという視点だけで判断してはだめで、もっとじっくりその人を理解することが必要だと思います。

楠田氏:そのためにどうするかというと、定性的に接する時間を長くするということ、定量的サイエンスを導入するということにつきます。イー・ファルコンの適性検査eF-1Gでは、どこよりも多い視点で1人ひとりを丸裸にし、当社にとってどうなのか、入社を決めてもらうためにどう関わっていけばよいかがよくわかります。そういうアセスメントの会社に切り替えるべきだと思います。

売り手市場で学生が企業を選ぶという立場にある今、企業側は学生の心をつかむために「なぜあなたなのか?」を訴えかけることが重要です。そのためにはますます1人ひとりをよく理解する関わり方をして、当社に合っているのか、どこが合っているのか、というのを伝えられないといけません。

ではそもそも「当社に合う」とはどのような人材なのか。採用担当はそれに答えられないといけない。最も大切なのは、自社の採用に関わる全ての人、採用担当だとか、面接官だとかが、会社はどうあるべきか、これから何を目指していくのか、そしてそのためにはどういう人を採らなければならないのかを、認識あわせすることなのではないでしょうか。

その上で学生1人ひとりを見ることが大切です。1人の学生を生身の人間として会う時間。当社のカルチャーに合うかどうか、インターンシップなどを通じてその質と量を上げていくことが必要になっていると感じます。

若年層のインターンシップが加速

瀬戸:「当社に合う」かどうかを、様々な角度から見ていくことが重要ということですね。インターンシップでいい学生を発掘していくためのツボはあるのでしょうか。

楠田氏:昨年以上に加速したのが、若年層のインターンシップです。もはやインターンシップをやるかやらないかの議論をしている時代ではなく、いい学生は皆インターンシップに行くので、やらない会社はいい学生が採れないことは明白で、しかもその対象が若年化しているのです。

あるネットベンチャー企業は、大学1年からインターンシップに呼び込み、いいと思った学生には1年次から内定を出してアルバイトなどで採用しているので、学生は安心して学業に専念できるということです。また、夏休みにアルバイト学生を大量に採用する飲食大手企業では、以前は就活シーズンになると皆辞めていったわけですが、アルバイトの中でいい人材がいたら、店長とエリアマネージャーと面接し、就職活動が始まる前に来てもらうということを昨年から始めているといいます。優秀な人々は早くから会社を決めるという体験型になってきて、アメリカのインターンシップにだんだん似てきましたね。

ただ、それを指示しなくてはならない高齢の幹部は、いいと思っても立場上、それを言えないというのがあるので、ちょうど時代の転換期なのでしょう。採用基準の明治維新といえるかもしれません。

経団連傘下企業も「6月1日、玄関開けたら2分で内定」を実践しているわけですから、「企業は人なり」を信条とする会社は、少なくとも前倒しの傾向にあると思います。
インターンシップのやり方としては、会社の新製品を一緒に考える研修や、ビジネスマナーの研修も増えています。型どおりのマナーを教えるのではなくて、学生同士でアイスブレーキングをやってみたり、相手をほめたりと、多岐にわたっています。

18採用に向けて企業が取り組むべきこと

瀬戸:それでは最後に、18採用に向けて、企業はどのようなことに取り組んでいく必要があるのか教えてください。

楠田氏:誰でも大学に入れて、これだけ売り手市場になってくると、採用担当者に優秀な人材、しかも新しいことにチャレンジできる人を登用することが必須になっています。マネジメントとリーダーシップの違いで、与えられているのを誠実にやるのがマネジメントで、この採用担当者が多いわけですが、全くないものを生み出すのがリーダーシップです。前任者と同じことをやっていたらダメなのに、改革していこうという人は少ないのが実情です。そこで痛切に感じているのは、採用担当者を対象にした適性検査も必要なのではないかということです。

採用活動におけるノウハウ本はいろいろありますが、総じて内容の薄いものが多く、自分で考えず、担当者が安易にそういうものをバイブルとして傾斜してしまうと、なおさら質が下がるおそれがあります。

また、学生と会社の橋渡しをサポートする人たちはたくさんいますが、そういう人たちをセグメントする必要があるのかもしれません。採用のエージェントやベンダーの営業トークは、今、二極化していますね。エヴィデンスベースでソリューションしていく会社と、口先で煙に巻いてしまう会社と。
“あるべき採用担当者とは”、“ありたい採用プロセスとは”何かを含めて、採用全体をゼロベースから設計し直すことが必要でしょう。

当社の“求める人材像”を明確化した上で、そういった人材を採用するためにどうすべきかということを考え、採用プロセスを組み立てなければなりません。そしてこれをリーディングできる担当者が必須となるわけです。 さらに、女性の人事部長が増えることも今後の大きな課題といえるでしょう。

瀬戸:学生も選考を通して企業を見定めている中で、これまで通りの選考方法では、当社に入社すると決断するための魅力と思いが伝わらないのかもしれません。今一度改めて原点に立ち返り、どういう人材を採用したいのか、どうすれば魅力や思いを伝え入社動機に訴求できるのか、ということを考え直すタイミングなのかもしれませんね。

お客様が自ら変わろうとする時や進む道に迷った時に、我々イー・ファルコンは、共に考え、それぞれに応じた解決策を提供してまいります。

楠田先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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