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インタビュー
17採用 解禁時期に左右されない勝てる採用の要諦

2015/10/27

  • 語り手 中央大学大学院戦略経営研究科
    ビジネススクール 客員教授
    楠田 祐 氏
  • 聞き手 株式会社イー・ファルコン
    ビジネスユニットリーダー
    瀬戸 美咲

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

16採用は総じて苦戦 ~前年踏襲ではもう勝てない、うまくいった企業の工夫とは

瀬戸:16採用では選考開始時期が後倒しとなり、迷いながら走った企業が多かったという印象ですが、16採用を総括するといかがでしたでしょうか。

楠田氏:16採用がどうだったかを企業にたずねると、7割の企業が「苦戦」という言葉を口にします。9月・10月に数回開かれた就活関係のセミナーで参加者(500人以上)に手を挙げてもらっても、個別に聞いても、苦戦という声が多く聞かれました。一方で、苦戦していない会社もある。その会社は、なぜ採れたのか、なぜ辞退者がいたのかを、徹底的に分析して、翌年の採用に活かしています。今年良かったから来年も大丈夫だとかまえていると足元をすくわれる、来年は今年以上にやらないとダメだと考えています。
今年、苦戦した7割の企業は、例年通りの採用選考を進めていったのではないだろうか。工夫のない企業と工夫を重ねている企業の格差が広がっていく可能性があると考えています。

瀬戸:他に、16採用でポイントとなったことは何だったのでしょうか。

楠田氏:この1年で非常に加速したものが2つありまして、①はインターンシップ、②はリクルーターです。インターンシップは、1日、5日、1か月と、大きく3つに分かれます。経団連が1日の場合はインターンシップではないと言っているように、次の日には別の会社に行くとなると、インターンシップというよりは会社見学ですね。去年や今年から1日インターンシップを始めたところは、設計自体がインターンシップ、つまり人事の採用担当のお試しの段階ではないかと思うわけです。
2点目のリクルーターについては、これまでは理系が主流でしたが、最近は文系もやり出しています。理系の学生は研究室にいるので居場所が分かりやすいですが、文系の学生はどこにいるか分からないことも背景にあります。日本でリクルーターの多い会社は1000人、2番目は400~500人、さらに数十人、数人と様々です。リクルーターの課題としては、先輩たちも仕事が四六時中忙しいのでやってられないと、数千人、数百人規模のリクルーターを要する会社は手が回らなくなり、アウトソーシングが始まっています。

インターンシップの必然性と成功のポイント ~インターンシップは育成の入り口

瀬戸:インターンシップはこの1年で加速したというお話でしたが、インターンシップはなぜ重要なのでしょうか。

楠田氏:初年度、インターンシップをやると、2年目は必ず内容をブラッシュアップし、3年目はさらに質を高めていきます。インターンシップを3年続けてどうなるかというと、全くインターンシップをやっていない会社から見ると「青田刈り」と後ろ指をさされる。学生の数も人口も増えている時代なら、工夫しなくても人が採用できたけれど、今は難しくなっています。つまりインターンシップを「青田刈り」と言って他人事と捉え、やらない理由を述べているような採用担当者は、採用には勝てません。

根本問題である労働人口の減少はいつからなのか。1人の女性が子供を産む数が1990年に1.57になり、ここからどんどん下がり始め、近年少し持ち直しているものの基本的には下降基調です。この「1・57ショック」は前年の1989年、平成元年生まれで、今、企業の中で26歳になったわけですから、売り手市場になるのは当たり前。少子化は1989年から始まっていますが、労働人口の減少はその22年後の2011年からあらわれています。
日本は卸業・流通小売業に従事している就業者の割合が、正規非正規含め17.1%で、全体の産業別雇用比率の中でトップ。アメリカは14.8%です。日本は製造業比率が高いといわれていますが、1980年代に工場の多くを海外に移転してしまったために、製造業は2番目で16.9%。だから流動化や人手不足がおきる。人口動態というのは10年先まで読めるものなので、10年前から分かっていたはずです。
もう一つは、2014年3月に、団塊世代(昭和22~24年生まれ)の再雇用が終わり、ここ1~2年で大量に抜けたので、会社の中の労働人口が減っています。こうなると学生の取り合いになって、インターンシップが注目されるわけです。
さらに理系人材について言うと、電気工学と機械工学の3年生では、2000年を100とすると、親がリストラ世代や理系離れなどの影響もあって今はもう半分しかいません。

こうした背景もあって、インターンシップも前倒しになり、大学1年生からやるようになっています。

瀬戸:成功したインターンシップについて教えてください

楠田氏:インターンシップの目的は3つあります。1つは社会貢献、2つめはすぐ辞めてしまうというミスマッチングの防止、3つめが人材開発。
特に3つめが重要で、これは昔からいわれていますが、自分がやっている仕事を他人に説明して教えて、他人がそれを理解してできるようになると、本当に自分が理解したということになる。つまり、インターンシップの担当者や関わる社員が成長できる機会となっているわけです。
また、インターンシップで成功している会社は、最終日に学生さんにポジティブな面だけでなくネガティブな面もきちんとフィードバックしています。人間はネガティブフィードバックで成長する。ネガティブなフィードバックを受けるとむかつきますが、人間だけは反省に入り、時間が経つとちゃんとやろうとなります。「むかつく」、「反省」、「ちゃんとやる」、この繰り返しが、人を成長させるポイントです。逆に言えば、むかついて切れてしまう人は、内定がもらえない。もちろん褒める文化も大切ですが、承認した後に欠点を指摘するというプロセスの仕組みをどう確立するかがより重要です。

瀬戸:企業の担当者も学生も、お互いに成長できる機会となっているわけですね。

楠田氏:そうなんです。さらに言うと、インターンシップとリクルーターについては、仕組みとしてパイプラインを作るべきです。インターンシップを経験した人たちが入社3年経った時にパフォーマンスが上がっているのは、先輩が学生の時から知っているので、ピグマリオン効果(人は目をかけられた期待に応えようとする)ができている。一般選考から入ってきた人たちとの差がつく理由はここにあります。やらなくても採用はできるかもしれませんが、採用担当はただ人を集めればいいのではないのです。採用した人材は本当にパフォーマンスを上げられるのか、社長や経営幹部候補となり得るのかという視点で採用活動に向き合っているのかを私は問いたいのです。

個と会社の想いを一致させるには ~採用後の人材育成で必要となる2つの目

瀬戸:より採用時に、入社後の育成や次世代リーダーとしての可能性に目を向けることが大事なんですね。採用もだれを採るかということだけでなく、採用後にその人をどう育て、どのように会社の想いや期待を伝えていくかということまで考える必要がありますね。

楠田氏:その通りです。採用後の人材育成をもっと考えていくことが重要です。さらに採用後について少しマクロ的な視点からお話しすると、戦後、バブル崩壊の90年頃までは「一億総中流」と言われ、皆同じぐらいの生活水準を目指していました。「就職」というのは「就社」で、会社に忠誠心を持っていたのに対し、教育の問題もありますが、今は豊かになりすぎて若年層の考え方がさまざまになっています。人材育成を考える際には、そういった異なる考え方や価値観を持った人材が集まっているということに注意する必要があります。

瀬戸:さらにグローバル化やダイバーシティの流れの中で、いろいろな価値観を持った多様な人材が会社に集まっていますが、そういう中で個と会社の想いをどのように一致させていけばよいのでしょうか。

楠田氏:そもそも自分の考えというのは、誰かの話を聞いたり、誰かが書いたものを読んだりするところから出てくると思います。考えというものは周囲の影響を受けていくらだって変化する可能性があるものなのに、日本の企業は「この人は考え方が違う」というふうに切り捨ててしまう。考え方が違う人が入ってきた時に、考え方を変えさせる仕組みがないのです。それをやらなくても、90年代までは皆一緒だったから。なぜ四半世紀経っても出来ないのかというと、今の管理職が入社した時がそういう状況だったからですね。生まれ持った性格は変わりにくいものですが、意識や行動は変わるわけで、社長がビジョンを語るとかマネージャーが言い続けるという育成も重要ですが、一方でアセスメントを使って科学的に人材を見つめ、個性に応じた伝え方をしていく必要があります。会社や上司としては、目をかけるという姿勢が重要です。まさに目をかけた人は伸びるというピグマリオン効果は見逃せません。

瀬戸:採用したら終わりなのではなくて、入社後も目をかけ続けるということが大事というわけですね。

楠田氏:非常に大切ですね。しかしながら、管理職がプレーヤーになってしまっているので、OJTは野放しになりがちです。かつてキャリアは会社に入ればレールが引かれていましたが、アメリカのトレンドを見てもこの10~15年位、「個の自立」というかたちで来ているように、今は結果論として砂漠の中で歩いてくださいという職場が多いように思います。
一方新人や若手は、かつては先輩や上司の背中を見て育っていたものですが、今は誰も背中を見ていない。皆スマホを見ています。スマホはキャリアを導くわけではないので、人事や上司が積極的に新人や若手に関わっていくことが大事になります。

瀬戸:関わり方のポイントは何でしょうか。

楠田氏:個と会社の想いを一致させるとは言っても、個の価値観というのは変わるものであることを忘れてはいけません。つまり、その変化を人の目と客観的な目の2つから見ることが大事だと考えています。
人の目とは、人事や上司が1人ひとりに向き合って、期待を伝えながら関わっていくことです。

もう1つの客観的な目とは、人の心を科学することです。これは、イー・ファルコンがやっていることですね。

瀬戸:そうですね。いかに1人ひとりと向き合うとは言っても、目に見える変化もあれば目に見えない変化もありますから、仰るとおり、人の目だけでなく客観的な目を持つことも重要だと思います。

楠田氏:イー・ファルコンは、アセスメントで個性を明らかにしているんだよね。

瀬戸:そうすることで、目の前の人物に対してどのように声をかけたら良いのか、その人にとって今必要なことは何であるのかがわかります。全ての人に一律で同じ伝え方をするのではなく、個性に応じて関わっていくことが大切です。

楠田氏:上司の背中を見て育っていた人が今は逆の立場になっている。そのため、個性に合わせるとか、部下のために自分が変わるというのはなかなかやろうとしないマネージャーが多い。アセスメントとか客観的な目というのは、そこに気づきを与えてくれるんですよね。

瀬戸:自分と相手は違うということをよく理解して、1つのやり方に執着するのではなく、相手の個性に応じて関わり方を変えることが、個と会社の想いを一致させるための第一歩なのではないかと弊社では考えています。

楠田氏:目の前の1人ひとりや今の組織の実情を見ずに、何をするかばかり考えている人事が多いように思います。イー・ファルコンはそこを見える化してくれるし、データだけ見るのではなく人や現場をしっかり見てくれる。人事の担当者も、人の目と客観的な目を持って、入り口の採用から1人ひとりと向き合っていくことが大事ですね。

瀬戸:それでは最後に本日のお話をまとめますと、ポイントは次の3点だと思います。

① 16採用の成果と失敗の「なぜ」をしっかり振り返り、工夫を凝らしていくことが大切。
② 企業の担当者も学生も成長できる機会がインターンシップであり、ピグマリオン効果が期待できる。
③ 採用だけでなく入社後も人の目と客観的な目で変化を追い関わり続けていくことが大切。

我々イー・ファルコンも、そういった学生、担当者、そして企業の成長を支え、未来に向かって伴走していきたいと願っております。
楠田先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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