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HRサミット
ダイドードリンコが挑戦する「女性活躍推進」の舞台裏
~活躍できる人材の採用基準の構築と育成~

2014/06/05

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  • 語り手 ダイドードリンコ株式会社 執行役員 人事総務本部長 濱中 昭一 氏
    中央大学大学院戦略経営研究科客員教授 戦略的人材マネジメント研究所 NPO法人『女性と仕事研究所』理事 楠田 祐 氏

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

 採用担当者が排除担当者にならないために

楠田氏:女性活躍推進と言えば、まずアベノミクスで言われている、2020年までに指導的立場にある女性比率を30%にしようという方針が取り上げられる。目標数値の根拠はさておき、ああいう形で政府が言うことによって、みんなが一生懸命やり出すことは、良いことだと思う。それに今、いい時期なんじゃないかな。団塊の世代の人たちが、65歳になって再雇用が終わり、男社会で40年間働いてきた人たちがいなくなります。みなさんご承知の通り、男女雇用均等法が施行されてから今年で28年目、均等法第一号の人たちが今年50歳におなりになった。これからは、結婚しても子どもを産んでも、当たり前に管理職になれる社会システムが必要になってくる。ただ、システムだけの問題ではなく、やっぱり採用にも少し課題があるかなと思います。

採用の重要性。それは自著で何度も書かせてもらっていますが、採用担当者が今は排除担当者になっている。50人の採用枠に5000人エントリーさせるような業界の流れがある。4950人をいかに排除するか、そこに時間とお金をかけている。これだから入った人がすぐ辞めたり、パフォーマンスが悪かったり、管理職になりたくないなんて人が出てくる。これは会社のカルチャーに合った人、必要な人を選ぶんじゃなく、落とすことに時間とお金をかけているからだと思う。採用というのは未来の社長候補を見つける作業なのを忘れちゃダメ。これがテキトーになっている会社が多い。

ではどうするのか。これを面接だけでどうにかしようと思ったらムリがある。これからは採用段階で、自社で本当に活躍できる人材なのかを見定める適性検査が必要だ。ただし、適性検査も玉石雑多にあるから注意しないといけない。どこの大学の先生が監修しているかが見極めの重要なポイントになると思う。紹介に来た営業担当に、心理学者は誰なのか、統計学者は誰なのか、そこを突っ込んで質問して答えられないようなら止めておいたほうがいい。安いから、たくさん使われている、だけの判断ではないのです。そこをしっかり見極めていただきたいと思います。

ダイドードリンコさんは、きちんと適性検査を行なって、当社のカルチャーに合うのか、活躍できるのか、そういうことに向き合って、取り組みをはじめていらっしゃいます。ダイバーシティ推進室長や人事部長だけが考えているのではなくて、採用担当者もきちんと取り組まなければならない課題です。入り口のところで、しっかりと適性を見ていくことが必要なのです。今日はダイドードリンコさんが取り組んでいる採用のお話を聞きながら、自社のカルチャーに合う人材をどうやって見極めていくのかを学ぶ勉強会になると思います。

女性のロールモデルがない中での挑戦

濱中氏:会社の概要を簡単にお話します。社名の由来は、“Dynamic,Do,Drink,Company”の頭文字をとってダイドードリンコ。『ダイナミックに活動するドリンク仲間』を意味し、文字通り成長し続ける大阪の会社です。1975年設立、今年で39年を迎え、年商が約1550億円、社員数は連結で約3000人。ダイドードリンコ単体では675名。会社の成長に向け2010年に構造改革をし、メーカー機能、オペレーション機能、シェアードサービス機能と、機能別に3つの会社に分社化しました。そして、今年の4月16日に38歳の新社長が誕生。また、当社の職種別の構成については、675名いる社員のうち6割が営業職・4割が管理企画職です。管理企画職には、女性が多いのですが、女性営業職は数名だけの男性社会。しかし、新しい社長のもと、新しい感覚・新しい考え方を取入れ進化しています。

私どもでは、新たな顧客の創出を目的とし、女性に営業職として活躍してもらいたいと思っています。しかしながら、男性社会のなかで、ロールモデルがいません。当然キャリア採用も選択肢と考えましたが、今いる優秀な女性社員を営業職として育てる事が重要と考え、3年前より取組み、現在、その女性社員が営業職として活躍し、それに刺激を受けた男性社員の業績も向上しています。私自身、一から採用した女性を、社長・人事のバックアップのもと、必ず成功させるという強い気持ちで取り組んでいます。ただ、女性営業の採用基準をどうするかに非常に悩み、そこを見定めるための試みをいろいろとしてきました。全くタイプの違う女性数名を3年前より順次営業に配属し、1、2か月に1回のペースで面談を社長と私で定期的に実施しています。仕事の目標や課題、不安なことなどを遠慮なしに話してもらいます。こうした面談の中で、女性が営業をする上で強みとなる資質、弱みとなる資質を確認していきました。いろいろなポイントが見つかりましたが、中でも「芯の強さ」と「人を惹きつけ動かす力」は非常に重要で、かつ面接では測れないポイントであること、それを見える化できるアセスメントが必要だということがはっきりとしてきました。そんな中で、当社の要望を残らず聞いてくれ、応えてくれる㈱イー・ファルコンとの出会いがあり、女性営業職の採用基準を確立することを目指し、当社オリジナルのアセスメント開発がスタートしました。

オリジナルアセスメントの概要と成果

濱中氏:もともと当社には男女共通の採用基準として、コミュニケーション能力、チャレンジ精神、目標達成力などの5つの項目があります。

そこへ新たに女性営業適性を測るための視点を追加してもらいました。内容だけではなく、アセスメントシートの見やすさにもこだわっています。前もって見ておくことと、その場で確認することどちらも重要と考え、項目ごとに色分けされたA4縦の1枚もので、一目でわかるようになっています。その他にもいろいろな要望を出し、独自のものを開発してもらっています。

女性が営業をする上で、芯の強さも重要なポイントです。アセスメントは一次面接の前に実施しますので、私が行う二次面接にはしっかりと芯の強さをもった女性が選考に進んできます。来年入社の女性については、男女共通でのコミュニケーション能力とチャレンジ精神を兼ね備えた上に、人を惹きつけ動かす力と芯の強さをもった女性を採用しました。面接では測れないポイントについては、バックヤードでしっかりとアセスメントを取り、見える化していることで、限られた面接時間内で迷わず選考を進められます。また、大きな成果として、今までは自分に似たタイプの人を採用する傾向があったのですが、いろいろなタイプの人をバランスよく採用できるようになったことです。

先ほど楠田先生から、採用担当者が排除担当者になっているというお話がありましたが、当社にとって採用はダイヤモンドの原石探しです。そこには非常に時間をかけています。実は、このアセスメントに辿り着くまでに、いろいろなチャレンジもしてきました。本当の自分じゃない自分を出す人もいれば、緊張からまったく自分を出し切れない人もいます。そのことを踏まえて、今後も面接を重視しながら、アセスメントを確認し当社が必要とする人材の見極めを行っていく方向です。

また、職種変更などでアセスメント結果が変化していくため、全員に定期的に受けてもらい、優秀な社員になっていく道筋を、このアセスメント検証にて新たなアセスメントロールモデルを作っていきたいと考えています。まだまだ、課題は沢山ありますが常に検証を続け当社が求めるアセスメントに近づけていきたいと思っています。

ダイバーシティの実現とともに目指すもの

濱中氏:今までお話したアセスメントでは、役割志向の8タイプも判定できるようにしています。

大きくは3つのグループがあります。今をしっかりと守る『最適化』グループ、チャレンジ精神が旺盛な『ゆらぎ化』グループ、常に行動し組織を成長させる『発展化』グループ。更に、そこから細かく8タイプに分かれます。

このアセスメントは、社長も含め当社の全管理職が受けています。重要なことは、会社が成長する上で、既存の管理職がポイントとなります。アセスメントを開発してもらって最初にやったことは、人事も含め管理職自らがアセスメントを受け、自分がどのような人間なのかを自覚することでした。新入社員だけではなく、既存の社員のタイプを知ることも非常に大事だと思っています。当社は、成長し続けるために、守る人、生み出す人、成長させる人、すべてのタイプの人が必要と考えています。このバランスを非常に大事にし、毎年、現状の社員のバランスを考慮し、どのタイプの人材を重点的に採用し、どの部署に配属するかを考え、毎年採用する人材要件を変えています。現在は、発展化の人が圧倒的に多いのですが、これから意識的にいろいろなタイプの人を採用していくことで、私どもの考えるダイバーシティを実現していきたいと思っています。

更に、管理職にはどんな人が必要なのかという事にも取り組んでいます。管理職に求められる男性の特質、女性の特質をアセスメントしたところ、先を示し、正確さを重んじる男性、フォローをし、関係性を大切にする女性という傾向が結果として見えてきました。男女で強みと弱みが違うなら、お互いに弱みをフォローし合うべきではと考えています。

そうした意味も込め、女性の採用・教育、管理職候補の人材発掘・育成・登用、そして最終的には役員登用、いわゆる人材フローのトータルマネジメントの実現を、世界を見据えて目指していきたいと考えています。

当社は、女性活躍推進において入り口のところです。今日の話がみなさんのお役に立つとは思っていないのですが、「ダイドードリンコは常にチャレンジしている」ということを分かっていただきたいと思います。みなさんと一緒に協力し、できることはないだろうかと考えています。

関わる人全員が採用と育成に真剣に取り組む時代へ

楠田氏:初期キャリア、入社して3年目までは非常に重要だと思うので、ぜひ濱中さんにはしっかりと目をかけて、育成をしていっていただきたいなと思います。とくに壁にぶつかると、自分一人で乗り越えようとしてバーンアウトしてしまったり、辞めちゃったりする方も見られるので、きちっとメンタルケアをしたり、定期面談やアセスメントを継続したりですね。

今後の話をすると、グローバル化の流れの中で、日本企業も外資系の企業も採用のアセスメントは共通のものが入ってきつつある。ただし、重要なのは、日本は特殊なマーケットなので、日本地域限定社員もあるのかなと。分かりやすく言えば、昔は総合職と一般職、それが近年は正社員と非正規社員になって、これからはグローバル活躍社員と日本ローカル社員になっていく可能性があるということ。なぜかというと、今年の4月1日に入社した社員が定年する2060年、まだ日本の人口は8600万人います。まだまだ日本国内で生涯活躍する営業が必要なんです。それなのにグローバル採用のアセスメントだけやっていていいのかって議論はもう始まっていますよ。そんなことを考えたとき、採用担当者が予算を計上する知恵をもっているかどうかが極めて重要になってくる。女性活躍推進はダイバーシティ推進室長や人事部だけに任せるんじゃなく、採用に関わる人たちみんなが一緒になってやる、入り口のところできちっと適性を見ていく時代になってきている。これからは少しブレイクダウンして、みなさん自身が考えていくことも必要なのかな、そんな風に今日は感じました。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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