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インタビュー イー・ファルコンのインターンシップ ~学生自身と企業側、双方のアイデンティティの確認と確立を促す

2015/05/01

eF-1G
  • 語り手 ㈱イー・ファルコン 代表取締役社長 志村 日出男
    ㈱イー・ファルコン 採用担当 瀬戸 美咲

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

「就職塾」の取り組みから見えてきた究極の問い

──まず、インターンシップに取り組もうとした背景から

今から6年前、弊社関係者の息子さんが大学3年生、某上位大学のラグビーサークルにいらして、そろそろ就職活動をしなくてはならないがどうしたらいいかわからないと相談されたのをきっかけに、ボランティアとして「就職塾」を企画し、呼びかけたところ有志の学生11名が集いました。昨年に第5期が終了し、これから第6期が結成されるというところです。

ちょうど2年前、2014年春の就職を目指した第3期の学生たちが1年間の塾を終えた段階の内定就職率は91%(11名のうち10名)だったのに対し、その1年後、第4期の内定就職率は50%、半分は内定が取れていないという厳しい状態でした。このギャップは何か。民間企業の調査によって見えてきたものは、経団連による倫理憲章の見直しと採用活動時期の変更に伴い、ターゲット大学採用の加速。つまり、企業が多くの母集団から絞り込んで行く時間がないので、上位の企業ほど上位大学にリクルーティングを絞り込み、そこにこそ優れた人材がいるであろうとターゲットを絞り込む動きが1年前から進んでいたわけです。同時に学生側の動きとしては、アベノミクスの景気回復に伴い、入れれば御の字という就職活動から一転強気になり、旧帝大・早慶クラスは7・8割が大手志向になってきた。いい企業はいい大学の学生のみを採りたい、いい大学生はいい企業に入りたいという非常に狭いバンドの中で濃密な競争が繰り広げられると、上位校でラグビーをやっていながら半分しか内定が取れていないという状況が見えてきた。だからこそ、就職活動を侮ってはいけない、何とかなるだろうという心を排していこうというところからスタートしたのです。

──採用における究極の問い

就職活動(企業から見ると採用活動)に目を向けると、エントリーシートや面談などいろいろなプロセスがあるわけですが、究極のところ2つの問いに集約できることが分かってきました。勝利できなかった原因をよく理解する必要があるので、以下いくつかの学生たちのケーススタディをあげたいと思います。

まず一つ目は、1次・2次は自分らしく面談を受けられたが、3次、4次と進むにつれて自分らしくできなくなり、自分自身のことを答えるべき最終面談において、同じ企業に合格した1代前の先輩が最終面談で語ったエピソードを、まるで自分の出来事のように語ってしまったというのです。なぜそうなったかというと、周りに残っている優れた候補者に対して、自分の体験などは通用しないのではないかという焦燥感がそうさせた。内定が得られなかったのは、その作為的な言動を面接官が見抜いたのではないかと推測されるわけです。その後、その人は24社にエントリーしながら、すべて落ちている。
二番目のケーススタディは、インターンシップに1社も参加しなかった人がいて、20社、30社エントリーしながら1社も内定を得られていない。インターンシップに参加できなかった理由はいろいろ口にするが、社会で闘う人たちと接する中で自分を見つめる機会を逸したのではないかということが推測されます。つくった自分や見つめ切っていない自分、この作為性や確信のなさを採用担当者は静かに見つめているのではないかということです。

これらから突き詰めると、採用活動で問われる1点目の問いというのは、“あなたは一体、何者なのか?”といえます。

ケーススタディの三番目としては、最終面接で「なぜ競合のB社を志望せず、当社を志望したのですか?」と問われた時に、「私の望みはB社でも出来るだろうが、この会社でも可能だろうから志望した」と答えたところ、その人は落ちてしまったといいます。この会社でなくてはならないという理由をもたずに臨んだというしかありません。
最後のケーススタディとして、企業を選考する理由に、世話になった親のために大企業に入らなくてはならないと思っている、何がしたいのか自分は分からなくなっていると答えたそうです。その本心は偽りのないものだろうけれど、あなたはご両親のために生きているのか、それ以外に生きる目的はないのかということです。つまり採用担当者というのは、「志し」と「望み」の鋭さや純粋さを静かに見つめているのではないか。

ここから導かれる二つ目の問いは、“あなたは何故、ここにいるのか?”です。

──アイデンティティ確立の必要性

少し角度を変えていうと、エリク・H・エリクソンというアメリカの心理学者が提唱した「アイデンティティ」の概念(図1)があります。非常に多様な解釈をされた概念ですが、神戸大学の谷冬彦先生によるとエリクソンは4つの構成でアイデンティティを語っていて、「自分とはこういう存在だ」「自分とはこういう存在だと思われている」「自分はこういう存在を目指している」「自分はこういう存在として認められたいと思っている」――この4つの構成でアイデンティティを語っているといいます。過去から現在、現在から未来への流れの中で、今、この4つがそろってセットで整っている状態が「アイデンティティ」が確立している状態ではないか。これが最初からある人は少ないが、どこから来てどこに行こうとしているのかを腹の底から答えていかなければならないし、先ほどのケーススタディはそれに対する準備が足りなかったというしかないのです。

“あなたは一体、何者なのか?”“あなたは何故、ここにいるのか?”――この二つの問いが究極の命題であり、それに向かって自らの存在をかけて答えた時、その人の歩む道が開けるのだと思います。アイデンティティの問いは一生続くものですが、最初に立てる瞬間が就職活動なのではないかと思います。この
重要な局面を無為に過ごすのか、自らのアイデンティティを問うのか、で学生の就職活動、ひいては就職後の本人の歩む道、組織が歩む道、社会が歩む道の未来が変わってくるでしょう。

このような背景と課題感を踏まえ、イー・ファルコンでは、就職塾生のみならず、インターンシップという場を通して、企業と共にすべての学生が心の底からこの二つの命題を問い、自らのアイデンティティを確立していく第一歩を踏み出す機会を提供するに至りました。また、アイデンティティの確立は、学生のみならず企業側にとっても重要な命題です。見定める採用も大切ですが、これからは学生と共に自らを見つめ、成長していく、そのような採用活動が大切になってくるのではないでしょうか。こういった採用市場の変化を真摯に見つめ、共有する採用担当者の皆さんと共にイー・ファルコンのインターンシッププログラムは広がりを見せています。

自分自身を知り志望動機をつくるためのプログラム

──イー・ファルコンのインターンシップの内容

今、他社で行われているインターンシップというのは、会社の業務内容を説明したり、体験させたりというものが中心で、ワンデーも少なくありません。仕事や働いている人の様子は分かるのですが、学生にとって真に希望する会社なのかという確信は得づらいものがあります。学生の間でも、「とにかくインターンシップに参加することが就活に有利」と、数をこなす面があって、多く参加することに重きが置かれていたりします。それに対して、イー・ファルコンのインターンシップは、自分(自分は何者なのか)と会社(この会社はどのような会社なのか)をしっかりと見つめ、二つのアイデンティティをブリッジ(自分の強みを生かすとすればどのように発揮できそうか)し、より具体的で硬固な志望動機を持つことで、両者のマッチングを行うことを目的としています。

構成としては、「自分にタイトルをつける」と「志望動機をつくる」(図2)の二本立てで、まる1日かけて実施します。前半は、自己理解を深めることを目的とし、事前課題として、身近な人たちに「私はどんな人か?」と問うインタビューと、イー・ファルコンの適性検査【eF-1G】を受検してもらいます。この、「他者から思われている自分」と「自分が認識している自分」を用いて、自らを多角的に捉え、自分はどういう人間なのかを見つめてもらいます。
続いて後半は「志望動機」の作成です。弊社の若手社員が参加し、座談会形式で学生がインタビュワーとなり、イー・ファルコンの会社や仕事内容についてヒアリングを行います。実際に働いている人の生の声を通して、会社、仕事、人の情報を集めてもらい、ワークを通して理解を深め、自分と会社を「志望動機」という形でブリッジしてもらいます。最終段階として、「自分とはいかなる存在で、なぜイー・ファルコンを志望するのか」を役員の前でプレゼンしてもらいます。発表後は3段階で評価が出る仕組みです。

──具体的には

「自分を知る」の最初の仕掛けとして、客観的な視点を持ってもらうために、まずは他の学生たちの自己PRを見せて評価してもらいます。あなたが採用担当者だったらどの人に会ってみたいか、どの人にはあまり会いたくないか、その理由が何なのか。学生たちはかなり鋭い視点で評価します。
次には、身近な人にインタビューした事前課題シートと、適性診断の結果から事実を集め、付箋紙にたくさん書きだしてもらって、用紙に貼り付けながら組み立てていくという作業をしてもらいます。それを統合し、最終的に自分自身を一言で語るのですが、それはなかなか大変な作業で、皆さん苦労しています。彼らはどうしたら答えが出るのかすぐに知りたがる傾向があるので、ここではあえてサポートせずに、自分たちでやってもらうことを大切にしています。混沌として答えがないものを自分たちの中で問い続け見つけていくというのは、実際の仕事においても大切な力になっていくので、その考え方や方法論を体感してもらうのが狙いです。面接だけでは見ることのできないその人の素(思考の癖や知的体力など)の部分が出るので、企業としては選考にも育成にも使うことができます。同じ葛藤をするにしても、どこで悩んでいるのかが重要になります。

次に20代・30代の若手社員との交流を通して、会社についての理解を深めてもらいます。昼食を兼ねたもので、ざっくばらんな話をしながらネタを集め、自分がイー・ファルコンに入るとしたらどういう仕事をしたいかというふうにまとめていきます。会社の業務内容はホームページを見れば分かるわけですが、先輩たちの言葉のどこに心が動くのか、隣の人はワクワクしているのに自分は全然心が動かない、その差は何かなど、様々な気づきがあります。その内容を学生全員でシェアしてから、座談会でさらに質問してもらいます。それらをもとに志望動機を各自でつくり、今までのプロセスを見ていない役員の前で、発表してもらいます(1人10分)。最後に社員の方からイー・ファルコンの企業活動を改めて説明し、一日のプログラムは終了。その後も、彼らには2-3か月に1回来社してもらって、近況の確認や成長の評価を行っています。

学生のメリット、企業のメリット

──学生の感想

イー・ファルコンのインターンシップを体験した学生たちに感想を聞くと、皆共通して「自分を知れてよかった」「自信がついた」という声が上がっています。

学生Aさん「自分が何者なのかについては、考えたこともありませんでした。自分とはどういう人間なのかを見つめる事の大切さと、向き合い方を学ぶ事ができてよかったです。また、家族や友人から自分について聞いたり、適性検査の結果を読み込む事で、知らなかった自分を知ることもできました。」

学生Bさん「今までやってきた自己分析は、ここまで深く自分を見つめるものではありませんでした。自分の強みや特徴を面接で語るたびに、どこか作っているというか、確信を持って伝える事ができていない自分がいました。今回、適性診断結果や他者から見た自分から自分の特徴を紡ぎ、統合していく事で、最後のプレゼンでは自信をもって自分について話すことができました。」

また、会社理解に関しては、「人の魅力がつたわった」「働くイメージを持つ事ができた」「なぜイー・ファルコンなのかが明確になった」という声を貰いました。

学生Cさん「人事コンサルティングと聞いても、どのようなことをやっている会社なのかイメージができませんでした。難しそうな仕事で堅苦しそうなイメージもありました。しかし、自分を分析するという取り組みはとても楽しかったです。目に見えないものを扱う仕事というのは難しそうだと思っていましたが、見えないものを解決していくことの楽しさを体験できました。社員の方がとても仲が良さそうで、自分もこのような会社で働きたいと思いました。」

──半年フォローで見られた学生の変化

半年フォローの場面で、インターンシップ後の変化について尋ねたところ、インターンシップでの気づきを実際の行動変容につなげ、それを継続している学生も何名か見られました。

学生Bさん「プレゼンのフィードバックで、「すごく明るいひまわりのような人だけど、ポジティブすぎて影の部分に目を向けていないのでは?」と言われ、どういうことなのだろうと考えました。私は嫌なことがあると人に愚痴を言って終わってしまいますが、相手がそうしたのは何でなんだろうと考えるようになり、人の気持ちや行動の理由がわかるようになりました。」

学生Dさん「僕はインターンシップで、人とのつながりが大事なんだと感じました。全く知らなかった人と同じインターンに参加していろいろな経験を聞いたり、社員の方からも沢山のアドバイスをもらいました。それからは、学生生活の中でも人とのつながりを大切にして、沢山の人と関わっています。インターンを通していろんな人がいる、人はそれぞれ違う強みや特徴がある、ということがわかり、「こういう人もいるんだ」「この人とはこう付き合えばいいんだ」ということを考えられるようになり、対応力やコミュニケーション力が高まりました。今後は海外旅行に行って文化の違う人とも交流したいと思い、現在計画しています。」

学生Eさん「私は好きなことには熱中できるけど、苦手なことにはあまりチャレンジしていなかったということにインターンを通して気付かされました。そこで、苦手な数字にチャレンジしようと思い、簿記の勉強をして試験に合格しました。また、今年の夏にはドイツに1ヶ月間留学することが決まりました。留学は迷っていたのですが、社員の方からのアドバイスに背中を押され、決心がつきました。これからはもっといろいろなことにチャレンジしたいと思っています。」

──社員が育つ、組織が活性する

また、今回のインターンシップを運営した採用担当者や参加した若手社員にとっても多くの学びと変化がありました。

採用担当A「学生さんに会社のことを伝えるのが意外に難しくて、その魅力を伝えるためには、普段、自分がどんなことを思って仕事をしているのか、周りの社員がどういうふうに仕事に向き合っているのか、改めて考え直すきっかけになったと思います。自分の仕事に誇りを持って学生に伝えられるようでありたいと、ますます普段の仕事にも精が入り、モチベーションアップにも繋がっています。インターンシップの主催側の社員にとっても成長できる場なのではないかと実感しています。」

入社2年目社員「 私自身の仕事の体験から、自分がどういう気持ちでお客様の課題に向き合ったか、少しでも力になりたいと思って一緒に課題を解決していったという話をしたところ、学生さんは目をキラキラさせて聞いてくれました。仕事というものは大変なものだけれど、こういうふうに社員が活き活きして話す様子を見て、何かを感じ取ってくれたのだと思います。また、学生さんたちの素朴な疑問が新しい課題につながっていくことを目の当たりにしたので、普段の仕事の中でも言葉にして表明することが大事と思ったし、口に出して表明してしまったからには意識せざるを得ないという面もありますね。」

今回の取り組みは、「自分とは何者なのか」を学生に問うだけでなく、同じ質問を企業が、社員一人ひとりが、向き合う事になるプログラムとなっています。学生たちの葛藤を見ながら、社員が自らを見つめ直したり、改めて会社や仕事の魅力を発見したりと、若手の成長と社内の活性という想定以上の効果が見られました。

まとめ ~価値あるインターンシップを目指して

かつてのマスリクルーティング、大学リクルーティングを経て、個を深く見つめていくパラダイムへ導きたいというのが、イー・ファルコンの基本姿勢です。動機の醸成、合意の形成によりアイデンティティを確立し、企業と学生がお互いに根拠と確信を持って進むリクルーティングプロセスを目指しています。まず、弊社の適性診断を活用して応募者を「集める」

その中から参加者(有望な人材)を「絞る」→診断結果を使って「惹きつける」→より参加を促し「選ぶ」(自分を知る)→「掴む」(志望動機をつくる)→その人の個性を見極めて「育てる」→さらに「入社」まで引き付けるという具合に、インターンシップから採用まで一貫したものになっています。これは大企業に限らず、中小企業でも導入が可能であり、またこの全部でなくて例えば「掴む」というところに重点を置くというように、各企業の事情や課題に合わせて組み合わせいくことも可能です。このような考え方と手法を各社が導入するようになれば、日本の社会は必ず変わると信じ、イー・ファルコンでは価値あるインターンシップの浸透を目指しています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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