お客様とプロの声

第23回「個と組織の進化を考える会」
成長ポテンシャルを見出す採用と受入れ《㈱イー・ファルコンの実践例》

2019/10/17

  • 語り手 株式会社イー・ファルコン
    事業部マネージャー 大橋直人 瀬戸美咲

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

<要旨>

これまで、「定着率の向上に課題がある」と多くの企業様よりご相談を受け、当社の適性検査eF-1Gを用いてお手伝いをさせていただきましたが、近年当社も同じ課題を抱えていました。
そこで当社では内面の成長を可視化する「成長の因果」を研究・開発し、それを用いて採用場面から社員の定着率の向上を図る活動を行った結果、新卒の定着率4割という状態から2年連続離職者0を達成することができました。
この活動を通じて見えてきた「定着率の向上」に有効なポイントは以下の3つです。
・一人ひとりの強み・課題を受け止め、成長ポテンシャルを重視した採用
・それぞれの与えてはいけない刺激を避け、強みを活かせる職場への配属
・成長に向けて、本人にとって良い刺激の機会をマネジメント
今回は定着率の向上を目指した、当社の活動をご報告させていただきます。

取り組みに至った背景(当社における人的課題)

当社は適性検査eF-1Gを主軸とした採用活動・人材開発施策のご支援、そして「成長の因果」の研究に基づいたサービスの開発と展開という2つの事業を柱にしています。組織については、10月に改編があり、現在の事業を進める事業部、新たな事業の開発を行う未来開発部、そしてスタッフ部門である経営管理部の3部門から成り立っています。2010年からの10年間を振り返ると大きく3つの期に分けることができます。

2010年からの回復期
●キャリア採用中心の期間。リーマンショックの景気低迷の影響を受けて業績が悪化していったことから、当社の社員として体現すべきものは何かを明確にし、人材価値軸として2010年に制定。
●その人材価値軸に基づいてキャリア採用から第二新卒採用へシフトし、業績を回復させることに向けて組織が一致団結。

2013年からの伸張期
●回復期に入社した第二新卒世代を次のリーダーに育んでいくという観点から、小規模集団の中で、自ら事業コミットを掲げ、そのコミットを果たしていくという経験を積める組織編制へ。
●その後、当社の提供価値に共鳴・共感し、それを体現するダイヤの原石を採用しようと新卒採用にシフトしていった。

2018年からの変革期
●事業の成長に向けてアクセルを踏む中で人材の定着の問題が顕在化。2018年から事業と組織の基盤をもう一度見直した上でさらなる成長に臨もうと、2つの事業部を1つに統合してマネジメントラインをさらに明確化。
●同時に人事企画部門を立ち上げ、社員の受入れと育成の強化を推進中。

こういった変遷の中で顕在化した定着率の問題について、採用プロセスからみていきたいと思います。

成長ポテンシャルを見出す採用へ~定着と育成~

当社の新卒採用は2014年からスタートしましたが、新卒入社者の定着率は悪化の一途で、2017年には6割以上が離職をするという事態に直面しました。
当時の採用プロセスは、中途採用での選考プロセスがベースとなり、エージェントからの紹介、一次面接、二次選考、内定、というものでした。
選考の特徴は以下の3つです。
●一時面接で社長と専務の2トップが30分から1時間ほどの個人面談を行い、その人が当社で活躍しうる人物なのかどうか、人材価値軸に沿って見極めていく。
●全役員とリーダークラスの総勢10数名が二次選考の課題に臨み、質疑応答を通してのジャッジメント。応募者へ課す課題は「イー・ファルコンの求める人材を自ら定義し、その定義した人材要件に関してどのような採用プロセスでそれを見極めていくか、その方法を考える」という内容。その発表に対して質疑応答するというスタイル。
●二次選考に参加した10数名の社員での合議を徹底。1人でも不合格評価者がいたら不採用と、シビアに人材を見極める。

人材価値軸に基づいて、このように厳しい選考を行ってきましたが、定着率の問題が出てきたことによって、「伝える」ということにも心を配るようになりました。
採用候補者に与えていた情報が圧倒的に少なかったことが一つの問題でした。特に「入社後に自分がどういう仕事に携わるのか」ということを想起してもらえる情報が足りなかったという反省から、採用ホームページを新しく開設し、会社説明会にも力を入れるようになりました。現在では、当社がどういう状況にあり、これから先どういう事業を成していきたいかという思いや、入社後、どのような仕事をしていくのかというところを隠し立てなく応募者に発信しています。また、一次面接と二次選考の方法自体は変えずに見極めを丁寧に行う中で、「定着」と「成長」という評価軸を新たに加え、応募者の可能性に目を向け協議を尽くすようにしています。

入社後の「受入れ」の取り組み

2016年以降、「見極め」だけではなく、入社後の「受入れ」にも力を入れるようになりました。それまでは、到達してほしい状態に向かって自律的に成長してほしいという願いのもと、厳しい課題や経験を与えてきたわけですが、現状の自分とのギャップでなかなか壁を乗り越えられずに離職に至ってしまうというケースもありました。
そこで取り組んだのは以下のことです。

初期研修の充実
●現場に配属された時に上司からかけられる期待と現状とのギャップで苦しむことや、仕事内容をよく理解できないままで現場に入って苦労するということを解消するために、入社後の約1か月、営業や業務の基礎スキルを学ぶ。
●当社が目指しているもの、社員一人ひとりがどういう思いで仕事に向き合っているのかをしっかり伝えることによって、マインドセットを図る。

配属前ローテーション
●どこに配属されると一人ひとりがより活かされるのかということを確認するために、配属前に、配属先となるチームをローテーションで回り、それぞれの仕事や人との相性を丹念に検討する。

配属面談
●ローテーションを通し、いろいろな刺激や機会を本人たちに与えた中で、それぞれの個性に応じ、与えてはいけない刺激、つまりそれを与えると元気がなくなるという刺激が見えてきた。
●それらと、本人の希望と、将来への期待を総合的に判断して配属を決定。

これらの取り組みによって少しずつ改善の兆しが見え、2017年以降に入社した新卒からは一人も離職者が出ないという結果を得ることができています。

一方、当社のお客様を含めた人事課題に目を向けると、売り手市場が続く中で、採用の悩みとして、ターゲットとする欲しい人材が集められない、母集団が形成できないという課題があります。また集まったとしても、一般的に優秀な人材は複数の内定を得ているので、内定辞退に苦しむ企業も少なくありません。採用活動がうまくいった場合にも、選び抜かれた人材が入社2、3年目で伸び悩んでしまうという相談も数多くいただきます。初期の伸び悩みの課題がなかったとしても、戦力となっていく30歳までに離職していくという定着の課題を持たれています。そういう悩みに対して、我々は「成長の因果」の研究とそのメソッドに基づいた、成長ポテンシャルを見出す採用と受入れの取り組みが、解決する糸口になると考えています。

成長ポテンシャルの見出し方と育み方(当社での実践から)

我々は研究を重ね、人間の内面を世界地図として可視化することができるようになりました。適性検査eF-1Gで算出される「役割志向8タイプ」と認知・思考スタイルの40類型(頭の使い方、ものの見方など)の組み合わせの類似性から、6×6=36グリッドにマッピングした時に、その人材の持つ特徴の強さがどこにあるのかを、色の濃淡から把握することができるようになっています。

例えば、図表の例では、7Cというグリッドが赤で一番強い適性を表しており、《やりきりエリア》に関わる特性が強いことがわかります。一方で、右上の《つながりエリア》のグリッドに橙色が広がっており、次に強い特性があることがわかります。さらには、左上の《ふみだしエリア》のグリッドに薄黄色が広がっており、変わりうる可能性が可視化されています。欲しい人材像や人材タイプに対して、広がる可能性があるかどうかを見ていけるようになったのが画期的なところです。
変わりうる適性やタイプは何なのかが分かることによって、入社後どのように成長し、どのように力を発揮していきやすいのかという可能性を採用時に確認し、その上で合否判断に踏み切っていけるので、これまではできなかった「ポテンシャルを見て採用する」ことができるようになりました。

実際に、当社の社員の結果を例に、どのような採用判断をしてきたかを紹介します。
入社2年目のAさんとBさんは、二人とも採用時は5Aのモグラというタイプ《ふかぼりエリア》でしたが、それぞれに次に色の濃い部分や広がりの仕方は異なっています。Aさんは左上の《ふみだしエリア》に強みがあることが見て取れます。対してBさんの方は《ふかぼりエリア》に加え、右上の《つながりエリア》に広がっていることが分かります。もう少し具体的にその違いを見ると、Aさんは自力で前に進む力に長けていることが確認できますし、Bさんは人と関わりながら仕事を進めていくことに適性があるということが見えてきます。
実際にその説明会を担当した立場から2人のことはよく覚えています。Aさんは説明していてもなかなか反応が返ってこなかったのですが、適性検査の結果を返却する際に、ある観点から「モグラタイプは周りから誤解を受けやすいタイプでもある」と伝えたら、「私、実はそうなんです!」と目がキラキラ輝き、自分のことを話し始めてくれました。対してBさんは、ニコニコしながら話を聞くようなバランス感覚のある面が見られましたが、出席者全員に説明会で知りたいことをたずねたところ、「御社は人材をどのように捉えていらっしゃるのですか」という鋭い質問をしたのがとても印象的でした。
このようにそれぞれの強みを理解した上で、2人がどういった場で活躍していけるのかということを丁寧に協議したわけですが、入社後の期待としては、Aさんに対しては「当社で取り組み始めている新しい海外市場の開拓に挑戦してもらいたい」、Bさんには「顧客の課題にじっくり向き合いながら、提供できる価値を探求し、課題解決のソリューションを生み出していってもらいたい」という期待をもって採用しました。

入社後には、初期研修ののち、配属先を検討するためのローテーションへと進みます。
ローテーションの中ではそれぞれの強みと課題を、各チームでの関わりや仕事に対する反応から再確認していきながら、各チームとの相性をじっくりみます。そうしてみると実際に、期間中における各メンバーの反応が全く異なっていました。人事担当とマネージャーとが定期的にそれぞれの状態や様子を共有し合い、どこに配属するとより強みが活きるのか、議論を重ねていきます。
2018年、2019年と続ける中で、活力を得て元気になるタイミングと、元気を失って落ち込んでしまうタイミングがそれぞれにあり、それはどのエリアの強さを持っているかによって異なることが分かってきました。

ストレッサー(ストレス要因)があった時に、どういう反応が現れるか、同じ刺激でもそれをどう捉えるかは、人によって違います。活力や意欲を持てている状態を「ユーストレス」状態、苦痛や退屈を感じている状態を「ディストレス」状態と定義し、「ユーストレス」状態を導く「与えるべき刺激」、「ディストレス」状態を導く「与えるべきではない刺激」は何かを、個人の性格のタイプと紐づけて整理することができてきています。

ストレスの観点から、キャリア入社したCさんの例をみます。

前職(当時ふみだしエリア)を離職してしまった原因を聞くと、「自分への期待水準の低さと提案を取り入れてもらえないという2点が大きく、ストレス度は高い状態ではなかったが、物足りなさを覚え、新しい職場を探すことに至ってしまった」ということです。「与えるべきではない刺激」と「与えるべき刺激」の両方が存在し、それを個人に合わせて見出していかないと成長ポテンシャルを見出し育むことはできなかった例といえます。

次に新卒入社2年目のDさんの例です。配属前の適性検査の結果では《つながりエリア》で、得意な領域が「まわりと協働する仕事」、「相手の要望を汲み応えること」、得意ではない領域は「一人で責任を担う仕事」、「未知の領域への挑戦」でした。ローテーションでその強みを再確認し、営業として顧客や代理店との関係性を結び強化していくことを主ミッションとするチームへの配属を決定しました。

配属後も「与えるべきではない刺激」に注意し、それぞれのメンバーに働きかけたり、仕事のアサインをしたりすることが多くなりました。Dさんは特に《つながりエリア》に重心があったので、「共感を示して期待を伝える」、「頭ごなしに怒るようなことはしない」、「しっかり最後までやりきれる仕事を任せていく」ということが意識されていました。ときに不足があったかもしれませんが、このような関わり方の工夫を一人ひとりに対して丁寧に行ってきました。

そのような中、仕事に取り組んできたDさんの1年後の36グリッドの結果です。8Cを中心に《他尊》側に重心があることに変化はありませんでしたが、6D「目的と戦略を示し率いる」、3A「相手に心を寄せる」の要素が新たに広がっています。代理店関係者や顧客と真摯に向き合いながら、時には自分から目的を示して相手の動きを促すような働きかけができるように成長してきたのだと思います。
そんなDさんへの次の期待は、《ふみだしエリア》への広がりで、代理店や後輩を引っ張っていく役割に挑戦してほしいと考えています。

与えるべきではない刺激は避けつつも、《ふみだしエリア》の「ジャンプアップの目標や役割を与える」「放任して任せる」(本人に最後までやりきってもらう)という経験に取り組んでもらっています。自分で企画を考え、大勢を相手にプレゼンテーションする経験に対しては、「やってみるまでは大きな不安があったが、やってみてよかった。自分自身ができることが広がっている実感がある」と本人が話してくれています。

まとめ(当社での実践の全体像と成果、そして企業での活用に向けて)

このような一人ひとりの可能性をよく見つめて育もうとする取り組みの中での大きな成果は、2017年以降の新卒入社者では、離職者がゼロになっていることです。さらに、キャリア入社も含めて離職者が一人もいなかったのは、2018年が創業以来初めてではなかったかと思います。成果を生み出したポイントは以下の3点です。

●一人ひとりの強みと課題を受け止め、成長ポテンシャルを重視した採用
●それぞれの与えてはいけない刺激を避け、強みを活かせる職場との配属
●成長に向けて、本人にとって与えるべき良い刺激の機会をマネジメント

「欲しいタイプが応募してこない」、「自社に根付くかわからない」、「どう育んだらよいかわからない」といった課題に対し、36グリッドサービスを活用していただくと、「可能性を見て採用判断」、「定着を促す配属先を検討」、「(本人にとって望ましい)成長を促す関わり方がわかる」といったことが可能となります。内定者や新入社員の結果を可視化するところから、ぜひご検討いただければと思います。

36グリッドについて詳しく知りたい方は下記よりお気軽にお問い合わせください。

【イー・ファルコン お問い合わせフォーム】
URL: https://www.e-falcon.co.jp/inquiry/

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