お客様とプロの声

売り手市場で勝つ採用とは
ダイドードリンコの実践に学ぶ
「採用はマッチングの場だ!」

2017/09/06

  • 語り手 ダイドードリンコ株式会社
    人事総務部
    人事グループ アシスタントマネージャー 石原 健一朗氏
  • 聞き手 株式会社イー・ファルコン
    取締役 菅原 勝寿

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

はじめに

-石原様のご経歴を教えてくださいー

前職である京セラ株式会社に入社したのが2004年。新入社員の時から約10年間、一貫して人材開発部門の教育統括部門において、研修の新規立ち上げや既存研修を継続実施する企画、運営、講師なども行いながら教育体系の再構築に従事していました。前職は従業員数が7万人を超す規模であり、事業の多角化やグローバル化、アメーバ経営と呼ばれる独自の経営手法を採用していました。そういった会社における人事の立ち位置は、経営戦略とは切り離された管理人事的な側面が強くなるため、人材開発部門は、職場や組織の関係性を発達・成長させる組織開発に力を入れていました。その中でもわたしは、教育の統括部門という立場であり、教育体系の再構築といった職務を遂行するため、積極的に各事業部門に入り込み、役職に関わらず多くの社員と交流しながら、組織開発を進めてきました。こういったキャリアにおける知見も踏まえ、会社全体の経営戦略と人事戦略の連関における戦略的人事、そんな働き方を求めてダイドードリンコに転職したのが2015年です。
現在の職場は、採用、育成、制度面の担当を担いつつ、全員が一体となって人事全体の構想を認識した上で、役割を補い合う基本方針がありました。その方針とわたしがやりたかったことが合致していたということです。その役割の中でも、“育成”という面について「やるべきこと」が山積しており、これからどんどん新しいことにチャレンジして欲しいという会社や上司の期待を受けました。今は“採用”の企画設計と実務を進めつつ、“育成”のシステム構築に全力を注いでいるところです。

見極める採用からマッチング採用へ

-18採用活動はどうでしたかー

本年度の一番大きな成果は、選考途中での当日キャンセルがほとんどなかったことです。当日キャンセルは、学生からすれば当社への思いが薄く、当社からすれば学生の心をつかめていないことの現われです。昨年迄は一定数発生していました。特に昨年は、売り手市場に変化、あるいは採用活動の短期間化の影響などにより、キャンセルせざるを得ない学生側の事情も理解できるものの、当日キャンセルした人の中に良い人材、つまり、当社であれば活躍できると思える人材が多くいました。そのため、今年は当日キャンセルを発生させないという目標を掲げ、戦略的に採用全体のスキームを変更するなど改革を行いました。結果は、最終面接を含めた選考全体において一名発生してしまいましたが、当日キャンセルの確率が大幅に下がったということは、当社に合った人材を採用できる確率が上がったと捉えています。

なお、内々定後の辞退率は昨年と同程度であるものの、内容が違います。内定者全体を見渡しても、様々な強みを持った今後の成長が楽しみな人材を採用につなげられたという感触、感覚があり、さらにその中でもこの人は絶対に入社してもらいたいという人、この人を採用につなげられたら今年の採用は上手くいったと総括できる、そんなベンチマークになるような人から入社承諾を得ることができました。

-なぜそのような変化が生じたのでしょうー

この会社の面接官は自分のことをちゃんと見てくれている、面接の中できちんと身の丈の自分を表現でき、その自分を受け止めてくれていると感じたら、当日キャンセルはしないと考えました。面接は一方的に相手を見極める場ではなく、お互いが一緒に頑張っていこうと思える相手を探すマッチングの場であると考えています。とは言うものの、自分の伝えたいことを明確に表現できる学生ならそれを受け止めればいいだけですが、そういう学生ばかりではありません。こちらに何を伝えたいのか、どんな夢があってどんな活躍ができると考えているのか、働く上で何を大切にしていきたいのかを引き出し、面接を受ける前には本人も気が付いていなかったものを探り当ててフィードバックしてあげる。つまり、面接という形のコーチング、これを一人ひとり全員に行ったつもりです。

見極めるための面接を漫然としていると、こちらが選別しているつもりでいても同時に選別されてしまいます。学生自身が、当社よりも他社の方が活躍できる、自分に合っていると考え、その後の選考を辞退することは、学生側、企業側お互いにとって望ましいことですが、上手くマッチングを図ることができないために「当社なら活躍できたのに…」と思う人に辞退されることは非常に残念に思います。マッチング採用では、一人ひとりとしっかりと向き合って対話するため、選考を進めたい人が確実に残っていったと考えています。

-見極めるのではなくマッチングですね-

面接官が、履歴書や企業側で決めた指標で当否の判断をするために、単にコミュニケーションを図っているようでは、欲しいと思う人材ほど、そういった面接官のスタンスを見透かすのは当然のことです。面接官が、育成や定着までを視野に入れ、もし入社後にギャップが生じても、この人材はもっとパフォーマンスを発揮できるはずだから自分が成長させてみせる。どういった点が強み・弱みで、どのように育成すれば強みを伸ばし弱みを克服できるのか、といったような入社後の育成面までイメージしながら学生と向き合っています。それくらいの意識がないと、この人材は当社に「合う合わない」という判断はできないと思います。内定の連絡をするときに「あなたは当社で必ず成長でき、大いに活躍できる」などと自信をもって伝えられません。最終的に、自信をもって学生に伝えるために逆算していくと、当然面接はマッチングの場になります。 マッチングは双方向ですから相手にも「自分はこの会社に合うな」と思ってもらわなければなりません。適性検査eF-1Gのアウトプットの中には働くにあたりどんなことに重きを置いているかを数値化した“仕事の動機”という項目や、役割志向から導き出された8つのタイプに対応する“キャッチトーク”というノウハウがあります。面接が進んでいく中ではそうした内容を頭の中に入れておき、価値観や志向性に合わせて、学生が自身を深められるような有効な問いかけをしてあげられるよう意識しています。

ダイドードリンコの問題意識とその後

-貴社との最初の取り組みは「イノベーター人材」の採用と受け入れでしたー

イー・ファルコンさんとのお付き合いは2012年から。最初の取り組みは内定者に適性検査を行ってみたら自分から行動を起こせる人材は多いものの、変革を産む「イノベーター」が少ない、そんな問題意識からのスタートです。また、イノベーターを受け入れるマネジメントが出来うるかという懸念もありました。その観点からすると、採用の面では上手くいっていると思います。

通常、面接に臨む前には適性検査のアウトプットに目を通すのですが、一次面接があまりにも立て込んで目を通しきれない時もあります。そんなとき「この人はイノベーションを起こす種を持っているのでは」と感じてアウトプットを確認すると、その通りの結果であることがほとんどです。これは、今まで積み上げてきた知見によるところが大きいので、そうした経験が少ない面接官の場合、このアウトプットは非常に重要な役割を果たすと思います。また、わたしにもその先にあるリスクまでは見抜けません。そもそも、「イノベーター」の多くは感性や言動が個性的で、組織とアンマッチを起こす確率が高い人材であると考えられます。だから、そういった可能性を少しでも低減するため、当社が定めたチェック項目で種々確認しながら面接を行っており、一定の成果は出せていると考えています。

一方、マネジメントの面ではまだまだ「やるべきこと」が残されていると感じています。たとえば、種を持っているような人は尖ったところがある。それを認めた上でイノベーションを起こしてもらうことを見据えて育てよう、伸ばしてあげようという意識がある管理職のいる組織に入れば芽を出せても、いなければ難しい。自力で芽を出して突き抜けていくパターンも可能性としてはゼロではないものの現実的には考えにくい。このように本人の素質、素養のありなしに加え、組織の意識のありなしも大きく影響するのですが、全管理職がそれを共通認識として持っているかと言えば、まだまだ道半ばというのが実状です。「イノベーター」を育成できるマネジメント体質へと全社をあげて体質改善しているところです。

また、適性検査でわかるのは絶対的なものではなく、グループダイナミズムの中でつねに変容する素質や素養が、現状どのようになっているかを表しているにすぎません。学生どうしのフラットな関係の中で好きなことをしていた時にはたくさんの花を咲かせた種でも、組織の中で同じように花を咲かせられるとは限らない。花を咲かせる力はあっても去ってしまう人もゼロではないため、採用した人が期待した通りのパフォーマンスを発揮してもらえるよう、育成や定着面での課題に取り組んでいるところです。

イー・ファルコンへの期待

採用選考の書類審査において、適性検査eF-1Gを活用していますが、面接をしていても当社に合っていない人は上手くスクリーニングされている実感があり、当社用にカスタマイズしてもらった求める人材の定義、分析の内容、精度、どれについても満足しています。その他のアウトプットについても、面接時に必要な情報を抜き出してまとめておくことで活用できています。
一方、当たり前のことですが、アウトプットに人柄やパフォーマンスそのものが出てくるわけではありません。極端なことを言えば、本来的なパフォーマンスはとても高いのに自分を低く認識する謙虚な人もいれば、自己を過大認識している人物もいる。なので、面接時の実感と適性検査の結果を突き合せたときに違和感がないか、整合性があるかどうかは重要なチェックポイントです。これには実感の世界とデータの世界をリンクさせるスキルと、それを裏付ける経験が必要です。eF-1Gのような適性検査に用いられる指標で、どれだけ多くの人を見てきたかという経験値がスキルアップには不可欠と考えます。このスキルアップを効果的かつ効率的に進められると、なお良いと考えます。

さらには、計画、実行、評価のPDCAサイクルは常に回していきたいので、改めて今年の採用を振り返り、学生に対してさらに有効なアプローチ法はないのか、面接だけではなく採用活動全体を通してどのように取り組んでいくのか、その後の育成にどういった形でつなげていくのかなど広い視野で一緒に考えてもらうパートナー、あるいはアドバイザー的な役割を果たしてくれることに大いに期待しています。

また、適性検査eF-1Gによる個人の成長をトラッキングすることにも関心をもっています。新入社員に対しては、適性検査結果のフィードバックを新入社員研修の中で一人ひとりに行っています。入社5年目迄毎年実施しているフォローアップ研修時に再度受検・フィードバックを行うことで、採用後の変化や成長度を確認できる仕組みを構築しています。また、御社に協力いただきながら研修内容をゼロから開発した次世代リーダーの育成教育「DyDo Innovation Academy(ダイドー・イノベーション・アカデミー)」で活用した際には、2ヵ年連続で同じ人物に適性検査を実施したところ、その一年間での本人の取り組みによって、リーダーシップスタイルがどのように変化したかなども確認できました。このように、採用時に受けた適性検査をスタートにしてどんどん積み重ねていき、学生の時にこういう特性の人材は、こういう社員になっていく傾向がある。といったようなことを知るための、データソースとして活用できたら、採用から育成までの流れを戦略的に構築できるのではないかと考えています。

-私共も同じ考えで、その仕組み化を開発しております。楽しみにしてください。
今回は貴重なお話しをお伺いすることができました。ありがとうございました-

まずはお気軽にお問い合わせください。

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