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セミナー報告
「2017年の新卒採用・自社にベターな方法とは?」

2015/09/30

  • 語り手 株式会社イー・ファルコン
    執行役員 水須 明

※登場する方の所属企業、役職等は当時のものとなります。

はじめに

今年度は採用指針の大きな変化に伴い、各社が多様な打ち手や工夫を施した中で、「何とか上手くいった、成功した」と感じている企業とは反対に、「思い通りにいかなかった・・」と悔やみきれずにいらっしゃる企業もいくつか存在しているとうかがっています。そのような中で、採用選考をより効果的に進めるためにどのように取り組んだら良いのか、企業の魅力を存分に活かした採用選考のあり方はどうしたらよいのか・・等、人事の第一線でご活躍されていらっしゃる皆様は、まだまだ思案中の状況が続いていらっしゃるのではないでしょうか。そこで今日は、16採用の取り組みの中で、様々な工夫を施し成功に至った企業の事例をもとに、17採用を勝ち抜いていくためのツボをご紹介したいと思います。本来ならば、一つの事例にたっぷりと時間をかけてご紹介したいところですが、時間の制約もありますので、本日はそのエッセンスを凝縮してお話ししたいと思います。

変化に伴う各企業の取り組み事例

来年度の採用に向けてより重要となる考え方やプロセスを4つの事例を通してご紹介したいと思います。

アプローチ① インターンシップのやり方や中身を見直す

一つ目は、インターンシップの中身を見直した、という会社の事例です。
その企業では、会社説明や工場見学を設けた1Dayインターンシップを実施してみたところ、仕事の内容は分かったが、「あまり変わり映えがしない」「どこも同じに見えるなぁ」という学生の感想が多く見られたようです。
そこで、この会社さんでは、他社との印象を大きく変えるために、次のような3つのステップを考えました。

① 会社そのものに対する“興味”を持ってもらう工夫
⇒【①会社の独自性】を見出し説明

② 学生との距離を縮める“リピートを高める”仕掛け
⇒【②次に会う機会】を創出

③ 自分が成長できる姿を描き“動機形成する”
⇒【③内省と(会社における自身の)将来像】の醸成

具体的なポイントは、それぞれ次のようなことが挙げられます。

まず①では、検索すれば誰でも見られる情報ではなく、その担当者しか持っていないような、「ここだけ話(会社に来ないと分からないもの)」を伝えることで独自性を表現しました。お客さんとの絆が深まった体験など、エピソードを冊子にまとめて、お土産として学生に配った企業もありました。
②では、リピート回数を高めるには年内のコンタクトが肝であると捉え、横一線で説明会やインターンシップを開催していたところをいち早くアプローチしました。また、診断結果の返却など、本人へのフィードバックを丁寧に行い、つながりを切らさないために継続的な接触とコミュニケーションをとることによって関係性を構築しました。
そして③では、自分が何者で、どういう存在価値があって、入社後どうありたいのかという思いを、対話をしながら一緒になって整理する取り組みをしました。「自分がその会社に入って5年先にどう成長できるのかすごく知りたいけれど聞けない」と悩んでいるところを、一緒になってその人の自分ブランドをつくりあげることによって、将来像の輪郭が描けるようになります。
この取り組みによって、インターンシップに参加し、且つ、最終的な内定承諾にまで結実した方が、承諾者全体の実に3割を占める結果となりました。

アプローチ② 母集団に対する意識を変えてみる

次は、母集団に対する意識を変えた会社の事例です。多くの企業が人物を理解するためのツールを導入されていると思いますが、人を見る視点というのは通常30~60のところ、弊社の適性検査eF-1G(エフワンジー)には193の視点が存在します。ただ細かく見るというだけでなく、この人はどういうキャラクターなのか、どういう役割を果たしたいのかの実像を一言で集約するため、人を語る視点を細かくしたという背景があります。
役割の志向性で分類すると、100を維持するような役割を果たしたい人達(「最適化」グループ)、新規事業や海外進出などの次の“1”を生み出すようなパワーを持った人達(「ゆらぎ化」グループ)、さらには次の1を100倍にしていくような推進力のあるパワフルな人達(「発展化」グループ)という3つのグループがあります。どういう母集団を形成したいか、ということはもちろん重要ですが、まず今の会社の人員構成がどうなっているのかを把握することが重要です。
組織のバランスは会社によって当然異なります。「最適化」グループ主流の会社(官公系など)もあれば、「発展化」グループの構成が多い会社(ベンチャー系など)もあるというように、100社100様の構成比となります。ただ、そこでとても重要なことは、現有戦力と実際に行っている事業の方向性がマッチしているか、ということになります。様々な企業を調べてみると、組織の戦力と事業の方向性が大きく崩れているケースが多く見られている事実があります。そこで、本来必要となる戦力バランスを採用で補っていくという観点に立ち、母集団形成の有り方を考えていくという方策も必要となってきます。
こうしたことから、企業側の発信の仕方によって母集団の質が大きく変わると考えられます。例えば「最適化」グループには「100年先を見据えた企業!」、「ゆらぎ化」グループに集まってもらいたければ「社会をイノベーションする企業!」、「発展化」グループには「10年後にナンバーワンになる企業!」と伝えたいポイントを変えることによって、響くメッセージが異なることから、結果として集まってくる母集団の質は変化することになります。ただ数を多く集めたいということではなく、必要な1人とつながりを持ちたいと思うことが大切だと考えます。
仮に採用に至らなかった人に対しても、“自社のファンになってもらおう”という思いで伝えるコミュニケーションをすることで、長い目で見たときに大切なお客さまの一人になる・・ということにもなりえます。実際にこのような発想で取り組んだ企業が存在しています。採用という枠組みでは縁がなかった方であっても、こうした地道な努力をすることによって、ブランドイメージの向上につながり、その企業では求める人材のエントリーが増えたという結果につながりました。

アプローチ③ 面接の仕方を変えてみる

人というのは同じものを見ていても異なる点を認識するものですし、その人の気質(性格)、価値観、行動というものはそれぞれのキャラクターによって異なります。人と自分は同じではないということを受け止め、違いを前提にベストマッチな面接方法を考えたのが、次にご紹介する企業の事例です。
まずこの企業では、対峙する相手の特性を考え面接をする、という観点に立ちました。そうなると、その特性をどのように捉えるかが重要となりますが、先ほどお話したそれぞれが好む役割によって、どういうフォローや期待をすればいいかが分かります。加えて、内定フォローのタイミングで、似たタイプのリクルーターを当てると学生が好感を持ちやすいということがわかっています。
職場で働くイメージをもってもらうにも、タイプによって殺し文句が違います。例えば、「バランスが取れる(CL1)」タイプの場合は、組織への所属欲求が高く、柔軟に合わせていこうとする面があるので、「一緒に頑張っていこう」と心的な距離を縮めていく関わりが重要になります。
さらに最近よく言われる「やる気スイッチ」(仕事の動機)を押すポイントはどこにあるのか、内発的なのか外発的なのか、または報酬なのかという視点で動機醸成する方法もあります。例えば「能力を発揮すること」が高い人物への訴求ポイントとしては、「少数精鋭で若手にも責任ある仕事を任せる風土があり、1人が担当する仕事の範囲が広く、成長の速度が速い」と伝えてあげると魅力に感じてくれます。
このように、個性に応じて働きかけ方を変え、一人ひとりの面接を丁寧に行ったことによって、この会社では内定辞退率を半分に抑えることができました。

アプローチ④ 会社の求める人材“像”や“思い”を伝える

会社の求める人材像や思いは既に設定されている企業さんが多いと思いますが、それを見極め基準含め、概念的な言語化の整理をした事例になります。例えばハイパフォーマーの要件や、30年先を見据えた時に屋台骨になってくれる人達はどういう人材か・・こうした概念を棚卸しすることによって全体像を浮き彫りにし、行動、性格、能力と階層的に整理して、その会社の像を言語化するというプロセスを経ていくことになります。同時に、こういう人は「うちにはなじまない」といった概念も言語化し、リスクチェック項目として設定します。
ある企業では、理念・ビジョンが存在し、評価の視点もあり、さらに採用の判断軸もあるのですが、それらが一貫しておらず、どのように統合し、その理念を定着させていくかということが課題でした。このようにそれぞれの視点が分断してしまっているケースは決して少なくない状況にあり、そこをつなげる言語整理が重要になってきます。
思いと実像を結ぶ例として、2つのパターンがあります。1つ目は「コンピテンシー(理念)」が存在すること。存在していたとしてもモチベーションが上がらないのなら、上げる施策に取り組んでいないという場合が多い状況です。コンピテンシーの価値を浸透させる活動や、さらに動機醸成に活かし自分事として受け止めさせる工夫や、企業風土作りへの取り組みが重要となります。
そして2つめは、企業の「らしさ」とは何かを言えるようになる(言語化する)ことが重要です。ある企業では、今と未来の2軸で“らしさ”の概念を言語化し、会社への愛着や絆を深めるきっかけ作りに取り組みました。そこから社員一人ひとりが少しでも長く定着し、楽しく活き活き働くための原動力の“合言葉”として、こうした風土作りの定着化に向けた継続的な取り組みを行っています。

求める戦力を取り逃さないツボと今後の採用に向けた企業側の対応策

以上から、17採用に向けて、求める対象者を効率的に集め、母集団を形成するには、次のようなポイントをチェックしていただくことが大切です。
1. 会社の“唯一無二の存在価値”を言語化する
2. 現有勢力における“必要な戦力”を把握する
3. 求める戦力に対する“メッセージ”を訴求する

さらに、改めて、今後の企業側にとって必要な考えや取り組み方について、整理したいと思います。

今後の企業にとって必要なこと1
1. 個性を見極め1対1のコミュニケ―ションを増やす
2. 組織の風土に見合う戦力を考える
3. 継続的に市場に目を向けアプローチする

今後の企業にとって必要なこと2
個に対して、入社したいという意欲の醸成はもちろんのこと、こんな風に活躍したい、してもらいたい、という入社後の将来設計をイメージさせるお手伝いをしていただきたいと思います。

今後の企業にとって必要なこと3
さまざまな選考対象者がいることをアセスメントで明らかにした上で、その人を会社のどこに配属するかということを考えると共に、仕事の質のようなものを整理する必要があります。キャリアの描き方で重要なのは、資格や経験だけではなく、その人の持っている特性の活かし方や伸ばし方まで含めた観点で言語化することだと考えます。その人の状態と組織の在り様をマッチングしていくような視点であり、人と組織の融合はこれからますます重要視される時代となってきています。

今後の企業にとって必要なこと4
来期に向けては、言語化(見える状態)、法則性(根拠のある関連性)、再現性(検証できる状態)を踏まえた採用活動が大切です。更には、個人の内面を確認し、その確からしさを見極め、精度を高めていくプロセスが重要であり、こうしたサイクル(PDCAサイクル)を体現しつつ、効率的な採用活動につなげていくことが大事です。

また「人材」は「人財」である(財=ダイヤモンドの原石)という思いは皆さんもお持ちだと思います。最後に今後に向けたポイントをご紹介したいと思います。ポイントは以下の4点。

・個人の魅力を見極め、発見し、継続的なコンタクトを
-個人の内面を探る手法やアセスメントの活用―
・個々人を活かし、育み、支える覚悟を持つこと
-優秀な戦力を定着し活かすタレントマネジメントの構築―
・企業のらしさを考え、組織のあり方を定めること
-企業の理念・思想・あるべき姿の明文化と定着―
・相互がWin-Winになる姿を描き実行すること
-個人と企業を発展させるマッチングへの取り組みー

以上が本日の最後のまとめとなります。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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