コーポレートサイトのリニューアルに込めたイー・ファルコンの新たな挑戦

    こんにちは、イー・ファルコン代表の田中です。
    この度、イー・ファルコンのコーポレートサイトがリニューアルしました。トップページのメッセージを刷新し、新たに企業理念のページを追加することで、企業として進みたい方向性をより鮮明に伝える構成に生まれ変わりました。

    実は、約1年前となりますが2023年10月に経営の舵を大きく切り、経営戦略の見直し、経営体制の刷新を行いました。この変革を始めた理由についても少し説明しておきます。社会全体に目を向けたときに一人ひとりの価値観や働き方の多様化が進み、人的資本経営が推進するなど、これまで以上に一人ひとりと向き合う必要性の高まりを感じており、適性検査事業を手がける当社にとって必ず機会が巡ってくると考えました。一方で、組織のあり方や社員一人ひとりの成長に目を向けたときに見直す必要があるとも考えました。企業の成長は、社員の成長と一体であり、社員が自分らしさを発揮できる環境を整えることが最も大切だと感じたのです。

    2018年のi-plugとの資本業務提携以来、度重なる変化があったわけですが、ここまでの大きな変化は無かったのではないかと思います。社員一人ひとりの協力と支えがあってこそ成し遂げられたと思っていますし、多くの社員が変化への不安を抱える中で、一緒に乗り越えてくれたことに心から感謝しています。

    本記事では、とてもイー・ファルコンらしい企業理念刷新のプロセスとコーポレートサイトリニューアルに込めた私たちの新たな挑戦について少しご紹介させていただきたいと思います。ポテンシャルディスカバリー

    適性検査の結果や対話を通じて見えてきた社員の姿


    変革を進めるにあたっては、マッキンゼーの7Sという組織変革のフレームワークを使ってTo Beを描き、As isを整理しGAPを明らかにした上でどこからどのように取り組んでいくかを考えていきました(画像2)。整理してみると、経営戦略の前提になる企業理念や戦略を推進する上で必要な共通の価値観のアップデートが必要ではないか、益々高度化し複雑化する顧客の課題に対して価値提供し続けるための組織としてのケイパビリティやそれを支える組織文化という要素を大きく変えていかないといけないのではないかと考えました。
    組織開発の方向性新体制でのスタートを切るまでの数ヶ月間は、毎日のように1on1を重ね、戦略の舵きりについての説明を行った上で、今感じている不安や期待について確認していきました。ここに時間を割いて本当によかったと思うのは、不安はあれど一人ひとりがイー・ファルコンを良くしたいという想いを内に持ってくれていることを確認できたことです。
    この一人ひとりが持っている想いをつなぎ、会社全体の推進力に変えていくためにはどうすればいいだろうか、と考えたときに手にとったのはイー・ファルコンが手がける適性検査eF-1Gの社員全員の結果でした。組織としてのどのような特徴的な性格特性があるのかを分析してみると、以下のような特徴的な性格特性を持っていることがわかりました。

    • 目的観を深める力
      何のためなのかと問い続け、深めていく力。高いと、より深い目的を見つめて取り組めるが、目的が不明確だと、前に進めない
    • 柔軟性
      一つの考え方に捉われず、融通をきかせて応じること。高いと、状況に合わせて、自然に対応することができるが、状況に振り回され、自分の意図を通せない側面もある
    • 協調性
      皆で目的を遂げるため、周囲と連携を取って動こうとすること。高いと、皆で良い成果を得ようと努められるが、周囲を意識し過ぎて単独での行動を控えようする
    • 社会的開放性
      他者との関わりを断つことなく、周囲との関わりを保っていこうとすること。高いと、誰に対してでも隠し立てしないが、行き過ぎたり受け手によっては遠慮がないと思われる
    • 安定性
      状況の変化に振り回されることなく、揺らがないこと。高いと、感情が高ぶったり落ち込んだりしないが、喜怒哀楽が周囲に伝わりづらい
    • 感情を抑え込む傾向
      自分の感情を表さずに、抑え込んでしまう傾向。高いと、常に自分の感情をコントロールしようとするが、ゆえに感情を内側に溜め込みやすい

    つまり、イー・ファルコンの組織の特徴としては「目的を大切にし、積極的に周囲と関わり、みんなで目的の実現を目指そうとする一方で、内に秘めた想いや意見はあれど表に出すのは得意ではない」ということです。トップダウンで推進するのではなく、時間をかけてでも共に作り上げていくことが重要であるということを再確認した瞬間でした。
    適性検査eF-1Gを用いた組織分析の結果

    誰にどのような価値を届けたいのか?全員参加型での企業理念を再定義


    イー・ファルコンでは以前は毎年社員旅行に行っていたのですが、ここ数年途切れてしまっており、そこで復活させたのがリトリートです。いつもと異なるロケーションで、日々の業務で枯れてきた気(気枯れ=ケ)を元気にするハレの機会として、未来について皆で考える場として取り入れています。このリトリートの機会を活かして、2023年10月と翌年5月、全社員で集まり、会社のビジョンや方向性について徹底的に話し合う時間を取りました(写真1)。
    リトリートの様子
    1回目(10月開催)のリトリートでは、企業理念を再定義するために以下のように議論を行い、社員一人ひとりの想いや考えを出してもらいました。

    1. ボードメンバーが観ている景色の共有
      マクロ、ミクロな環境分析の結果を共有し、前提を揃えた上で以降の議論ができるようにしました。途中、イー・ファルコンの創業メンバーで今も関わっていただいている方に23年の歩みについて語ってもらったのですがこれがとても良かったなと思います。適性検査eF-1Gに込めた「一人ひとりのキャリアを輝かせたい」という想いやi-plugとの資本業務提携の意思決定を行ったときの経営陣の覚悟が”引き継がれた”気がしました。
    2. 誰に価値を届けたいのか
      価値を届けたい顧客像の解像度を高め、届ける順番についても議論をしました。大なり小なり人事に課題を感じていない企業はなく、「課題を解決したい!」「そのためにどうすべきか知りたい!」と行動を起こそうとしている人事や経営者、マネージャーの力になりたいよね、企業だけでなくその先にいる個人にも価値を届けたいよね、といった話を交わしながら顧客の解像度が高まっていきました。
    3. イー・ファルコンの強み、弱みは何か
      継続して利用してくれている顧客はなぜ選び続けてくれているのか?といった問いを深め、強みについて考えていきました。また、弱みとして認識して改善すべきことは何かについても議論していきました。
    4. 未来の提供価値の方向性
      このような議論を重ねていくことで目指したい方向性が少しずつ見えてきました。イー・ファルコンがやりたいことは”適性検査”を提供することではないのではないかと考えました。やりたいことは適性検査というツールを用いて顧客の課題解決を行うことであり、それが個人の可能性を引き出すこととセットで実現される状態の実現であると考えました。

    こうして再定義されたのが以下のコアバリューとパーパスとなります。合わせて、このときに整理された実現したい世界観(画像4)が後にBHAGとして明文化されるのですが、そちらについては後述いたします。

    • Core Value 人と組織の真の可能性を信じる
      自分自身や仲間、組織がもっている潜在能力の価値、すなわち”真の可能性”というものを信じることなくして人や組織の可能性を引き出すことはできないと考えています。いかなるときも、社員や顧客、関連する全てのステークホルダーへの信頼や尊敬の念を保ち、それぞれ真の可能性を信じて向き合い続ける姿勢を大事にします。
    • Purpose 科学と感性で、人の可能性を引き出し組織と社会の発展を実現する
      人は絶えず変化し理解するのがとても難しい存在。ゆえに、適性検査やパーソナリティという心理学、統計学といった科学の力と人が持つ感性を総動員することが人の可能性を引き出すためには欠かせないと考えています。私たちの取り組みによって、多様な個の理解を促し、個の可能性を引き出し、個の価値の総和を高めていくことにより組織の成長や社会の発展を実現していきます。
      実現したい世界観

    社員の主体性を育み、新たな文化を築くために-BHAG、WAYの明文化


    2回目(5月)のリトリートでは、BHAGとWAYの明文化に取り組みました。
    前述のとおり、イー・ファルコンの社員は目的観を深める力が高く、自身の中で信じて止まない目的が定まればそれが原動力となって価値を発揮してくれる、そういう人の集まりと言えます。ゆえに、もう一段実現したい世界観の解像度を高めるためにBHAGを定め、そこに向かうフェアウェイゾーンとしてのWAYを定めることにしました。
    なぜ”フェアウェイゾーン”という表現をしたかというと、一人ひとりが考え行動できる幅を持たせたいと考えたためです。この幅が主体性を引き出し、個々人のそして組織のPDCAを回すと考えています。私たちが向き合う顧客の課題は、複雑で多様で変化し続けます。その課題解決に一緒に取り組むには、一人ひとりが主体的に変化・成長し続けること、さらにはそれを組織単位でできることが欠かせないと考えています。

    このようなことを考えながら、2回目の議論は以下のように進めていきました。

    1. たたき台をもとにBHAGの言葉を磨く
      BHAG(Big Hairy Audacious Goal ) とは、会社を次のレベルに引き上げる、人を奮い立たせるような長期の目標のことです。書籍『ビジョナリーカンパニー』の中では「社運を賭けた大胆な目標」として訳されています。ビジョンよりも感覚的にワクワクするのでこれを用いました。ゼロベースでの議論だと発散しそうだったため、10月のリトリートや、それ以降の活動の中で得た情報をもとにボードメンバーでたたき台を用意し、それに言葉を足したり、引いたりしながら言葉を磨いていきました(画像5)。
      たたき台をもとに各グループで意見出しを行い共有
    2. 新体制後の半年を振り返り判断・行動の拠り所となるWAYの材料探し
      新体制後、大切だなと心に残っている考え方や判断・行動の拠り所となるようなものやエピソードはないか、パーパスやBHAGの実現に向けて新たに意識したい、大切にしたい考え方はないだろうか、といったことを個々に、またグループで考え、共有しながらWAYを考える上での材料となるものを探しました。
      WAYの位置付けを理解した上で各グループで議論し共有
    3. 議論の内容やプロセスをオープンにBHAG、WAY決定へ
      次にリトリートで出した材料をもとにBHAG、WAYにまとめて行ったわけですが、そこで大事にしたのはリトリートで行えたようなオープンな議論を維持することでした。ボードメンバーだけでなく任意で社員なら誰でも議論に参加し意見を出せるようにし、議論の内容は録画や議事録で全社員に共有するようにしました。1ヶ月程度の時間をかけて、三度の議論の場をもちBHAGとWAYを決定し、7月の第二四半期の全社会議で社内へのお披露目を行いました。
    • BHAG ポテンシャルディスカバリーを 未来をひらく新しいスタンダードに
      ポテンシャルディスカバリーとは、「人と組織の真の可能性を追求し、示し、引き出す」ことを意味します。私たちは、この理念をパーソナリティデータの利活用において実現し、共に新しいスタンダードとして確立することですべての人と組織がその可能性をカタチにできる未来を築いていきます。
      実現したい世界観の文言もよりシャープに
      BHAGの解説(1)BHAGの解説(2)
    • WAY
      ・目指す未来に向けて挑む
      ・自分らしさを信じて楽しむ
      ・誠実に問題と向き合い、解決策を探る
      ・失敗を恐れず、素早く行動する
      ・互いに尊重し、共に成長する
      WAYの解説

    実現に向けた挑戦、次なるステップへ

    このようにして、社員全員でCore ValueやPurpose、そしてBHAGやWAYを作成してきたわけですが、次のステップとしては社員一人ひとりが拠り所としてこれらを意識し行動できている状態に到達させること、さらにその次のステップでは無意識で行動できている状態、すなわち文化として組織に定着できている状態に到達させることだと思っています。

    人的資本経営の実装においても、人の内にある能力や特性といった人的資本を捉え、最大化させるだけでなく、それらが発揮できるようにすることまでがセットだと語られます。まさに、ここから先のイー・ファルコンの社員一人ひとりの真の可能性を引き出し、発揮に導くことは経営としての重要な役割だと思っています。

    今回のコーポレートサイトのリニューアルは、私たちイー・ファルコンの社会に対する宣言でもあります。BHAGで定めた『ポテンシャルディスカバリーを 未来をひらく新しいスタンダードに』を実現するために、ここからイー・ファルコンの挑戦が始まります。

    私たちのこの挑戦にぜひご期待ください。

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    著者:株式会社イー・ファルコン 代表取締役 田中 伸明
    関西学院大学経済学部卒。グロービス経営大学院大学卒。新卒でアフラックに入社。その後、株式会社グロービスで法人営業に従事し、2012年にi-plugを創業し取締役に就任。法人営業やマーケティング担当を経て2019年にCFOとなり管理部門の管掌をするとともにIPO準備や審査対応、IRをリード。2022年9月に株式会社イー・ファルコンの代表取締役に就任。

    一般社団法人 人的資本経営推進協会 理事、ISO30414リードコンサルタント/アセッサー