人的資本経営におけるよくある疑問と回答:人事の課題解決に役立つヒント

イベント概要

本記事では、2024年10月8日に開催された人事向けセミナー「人的資本経営に欠かせないマネジメント力のアップデートとパーソナリティデータの活用」内で行われた楽屋トークセッションから、参加者の疑問に対する登壇者の回答をお届けします。

このセッションには、トイトイ合同会社代表の永島寛之氏と、株式会社イー・ファルコン代表の田中伸明が登壇。企業の成長段階に応じたピープルマネジメントの課題や、その解決策について具体的なアドバイスを展開しました。人事担当者にとって、日々の業務に活かせる実践的なアドバイスが数多く紹介されています。

登壇者

永島 寛之 氏
トイトイ合同会社 代表社員
中央大学 企業研究所 客員研究

大学にてマーケティングと産業組織論を学んだのち、メーカーにて海外事業の新規市場開拓に従事。
米国駐在(ソニーUSA)を経て、ニトリホールディングスに入社。似鳥昭雄会長の元で組織・人事責任者として、タレントマネジメントの観点から、採用、育成、人事制度改革を指揮。その後、レノバ(東証プライム)における執行役員/CHROを経て、2024年にトイトイ合同会社を創立。
複数の企業の経営者の元で、「個人の成長」を起点とした未来組織開発を支援している。
田中 伸明
株式会社イー・ファルコン 代表取締役
株式会社i-plug 取締役

関西学院大学経済学部卒。グロービス経営大学院大学卒。新卒でアフラックに入社。その後、株式会社グロービスで法人営業に従事し、2012年にi-plugを創業し取締役に就任。法人営業やマーケティング担当を経て2019年にCFOとなり管理部門の管掌をするとともにIPO準備や審査対応、IRをリード。2022年9月に株式会社イー・ファルコンの代表取締役に就任。

一般社団法人 人的資本経営推進協会 理事、ISO30414リードコンサルタント/アセッサー

    Q:ピープルマネジメントでメンバーに仕事を依頼する際の基準や与える役割・裁量のバランスで悩んでいます。どのように個人ごとにカスタマイズして対応したらいいのでしょうか?

     

    永島氏
    部下の現状とあるべき姿におけるスキルや能力を明確にして、本人が成長してそのギャップを埋めていける目標設定、育成計画やフィードバックを丁寧に実施していくのがピープルマネジメントです。役割や権限もその中で考えていけると良いでしょう。

    マネージャーの役割は各会社によって変わってきます。会社が規定する「上司と部下がどういう関係性を築くのが望ましいのか?」という考えを明確にしていく事から始めていくのが良いのではないでしょうか。

    Q:30名規模の会社です。ピープルマネジメントの促進を担う役割としてCHROはどのくらいの規模感・タイミングで設置するのが良いのでしょうか?

     

    永島氏
    必ずしもCHROを設置する必要はありません。会社によっては人事部長が兼務することもよくあります。
    ただ、規模が大きくなると現場の仕事が忙しくなり、人事部長が経営目線で物事を考える時間や経営者とのコミュニケーション量が減ってしまいます。また、中長期のことを考えて全体最適を考えながら、部分最適である目先の対応を行うというのは、とても難しいことであり、事業が成長して課題が複雑化してくる局面ではCHROと人事部長を分けるのが良いかもしれません。
    まずは人事部長がCHROを兼務しつつ業務量や経営者と人事のコミュニケーション量を見ながらCHROの設置判断をするのがオススメです。

    Q:8,000名以上の規模の会社の人事を担当しています。目標管理と1on1の制度を導入したのですが、現場にはまだまだ馴染んでいません。制度の徹底と教育が一番の課題だと感じているのですが、規模の大きな会社でどのように運用すればいいでしょうか。

     

    永島氏
    1on1の制度を導入しているのであれば、なぜやるのかというWhyの解像度を上げて説明することが一番大事です。さらに、進め方などのルールを細かく規定してあげるなど、すでに導入している制度を活かすのが一番いいと思います。
    ルールについては、例えば以下のようなイメージです。

    ・開始時に前回の振り返りから話を始めて、テーマを決めて進める
    ・テーマは「課題進捗」「キャリア」「悩み」のどれかにする など。

    人事で決めた仕組みが現場に馴染んで当たり前の行動になるまでの期間は会社によっても異なりますが、1、2年は見た方が良いケースが多いです。
    新しい制度を設計して導入することも大事ですが、すでに導入した仕組みが現場で受け入れられないという事実に正面から向かい、対応し続けるということこそが人事として大事な仕事となります。
    頻繁な仕組みの変更は、組織の生産性やエンゲージメントを下げる要因にもなり得ますので、できるだけ今の制度を改善しながら運用していくことが良いと思います。

    また、人事としてマネージャーと目線を合わせるためにも、上司と部下の理想的な関係性を示すのも効果的です。1on1の理想は役職を持ち込まずフラットな関係性で望むことですが、現場の皆さんは意外と知らない人が多く、驚かれる方がいらっしゃいます。
    言葉で説明するのが難しい場合は、良い例・悪い例の動画を撮影してサンプルを作ってあげると現場はイメージしやすくなります。

    Q:スタートアップなのですが、今から人材ポートフォリオの作成に注力すべきでしょうか?

     

    永島氏

    今すぐ注力する必要はないと思います。
    「5・10年後に実現したい会社の状況を経営陣含め議論する際に組織も一緒に考える」で十分だと思います。
    きれいなポートフォリオを今から作ろうとすることよりも、会社の成長と照らし合わせて「人」の観点を持ち続けることが重要です。

    e-falcon田中

    事業が成長フェーズに入ると、仕事にばかり気が取られ人材の観点が劣後しやすくなってしまいます。グロース企業において人材の問題は後々露見することが多いので、事業の話と人材の話はセットで議論するように癖付けをしておくと将来の備えになると思います。

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    著者:株式会社イー・ファルコン
    公式Twitter:@efalcon_news