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1on1ミーティングに必要なスキルとは?効果的な進め方のガイド

作成者: e-falcon|2023/03/21

近年、「1on1ミーティング」をマネジメントに導入する企業が増えています。

たとえばGoogleは、よい1on1ミーティングをできなければ、チームの成果が上がっていてもマネジャーの評価が下がる仕組みです。

マネジメントに有用なツールである1on1ミーティングですが、いざ実践しようすると、進め方がわからないと戸惑う方が少なくありません。

この記事では、1on1ミーティングに求められる具体的なスキルや、進め方のヒントをお届けします。

1on1ミーティングとは?あらためて確認したい基本


最初に、1on1ミーティングとは何か、基本を確認しておきましょう。

マネジャーと直属の部下で行う定期的な面談

1on1ミーティングとは、直訳すると「1対1のミーティング」という意味です。

多くの場合、「マネジャーと直属の部下の2人で行う、定期的な個人面談」を指して、1on1ミーティングと呼んでいます。

1on1ミーティングは、おもに以下の目的で実施されます。

  • 継続的なフィードバックのやり取りの場とする。
  • 懸念や問題に気づく。発見された懸念や問題に対処する。
  • 目標やゴールを設定する。達成に向けた進捗状況をディスカッションする。
  • よい関係性を構築する。コミュニケーションを通じて、お互いを理解し合う。

グループミーティングとは異なり、1対1の対面で行われる1on1ミーティングは、マネジメントにおいて重要な役割を果たします。

上司と部下が効果的にコミュニケーションを行い、問題を解決し、長期的な幸福度を高めながら成長するために、役立つからです。

事例:Googleではよい1on1ができないと評価が下がる

ひとつ、具体的な事例をご紹介します。

1on1ミーティングのマネジメント活用が、世界的に有名になったきっかけとして、Googleの取り組みが挙げられます。

以下は、Googleで人材開発に携わっていた、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の言葉です。

グーグルには、チームの心理的安全性を高めるための仕組みがいろいろあります。
たとえば、「ワン・オン・ワン」(1on1、1対1)。マネジャーは週1回1時間、必ずメンバーと1対1で個人面談してコーチングしなければなりません。当然ながら、よいワン・オン・ワンができないマネジャーは、どんなにチームの成果が上がっていても、評価が下がる仕組みになっています。もちろん、評価のルールは世界共通。そして、技術者のチームであろうが営業のチームであろうが経理のチームであろうが、まったく一緒です。

*1

「部下1人あたり、週に1回・1時間」と、マネジャー業務の多くの時間が、1on1ミーティングに割り当てられています。

冒頭でも触れましたが、
〈よいワン・オン・ワンができないマネジャーは、どんなにチームの成果が上がっていても、評価が下がる仕組み〉
というのも、特筆すべき点です。

それだけ、1on1ミーティングに重きを置いていることがわかります。

1on1ミーティングの進め方

「毎週、1時間の個人面談なんて、何をどう話すのか?」
と、疑問に思うかもしれません。

具体的な進め方は、企業によって方針がありますが、前述のGoogleであれば、
「1on1ミーティングは、メンバーの時間」
という根底の考え方があります。

グーグルでは、ワン・オン・ワンはマネジャーの時間ではなく、メンバーの時間と考えられています。つまり基本的には、その時々でメンバーの話したいことを話してもらう。といっても、主な話題は自然と仕事のアジェンダ(行動計画)になるわけです。ただ興味深いのは、成果を上げているマネジャーほどワン・オン・ワンのときにプライベートな相談にのっているという傾向があること――。

*2

ときにはプライベートな話題を含めて、
〈基本的には、その時々でメンバーの話したいことを話してもらう〉
のがGoogle流です。

以上を踏まえつつ、続いては、1on1ミーティングを実践するために身につけたいスキルを、見ていきましょう。

1on1ミーティングの3つの基礎スキル


1on1ミーティングに求められる基礎スキルとして、次の3つが挙げられます。

  • (1)傾聴のスキル
  • (2)質問のスキル
  • (3)問題解決のスキル

(1)傾聴のスキル

傾聴とは、「相手の話を聴くスキル」のことですが、じつはとても難しく、奥が深いものです。

優秀な人ほど、部下が話し始めると、問題解決回路が作動して、「お前、だったらこうしろよ。」
「こうすればいいじゃないか。」「なんでこうしないんだ。」と話を遮りがちです。

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上記は、コーチングの第一人者・本間正人氏によるセミナー資料からの引用です。「耳が痛い……」と感じる方が、多いのではないでしょうか。

同資料では、具体的な実践として「相づち・頷き・繰り返し」の3要素が挙げられています。

「相づち」は、「はい」とか「ほう」などといった同意、同感のしるしです。
「頷き」は、首の上下運動です。
「繰り返し」は、相手の発言の全部又は一部をリピートして返してあげることです。

*4

つい、部下の言葉を遮りそうになったときには、
〈「うん、なるほど。」「おう、そう思うんだな。」と、相づちの言葉を入れていただくと、その後、相手が何を言いたいかというのを引き出しやすくなる〉*5
と、本間氏はいいます。

(2)質問のスキル

傾聴の次に大切なスキルとして「質問」が挙げられます。

部下とのコミュニケーションでは、質問しているつもりが「詰問(相手を責めて問いただす)」になっているケースが、少なくありません。

詰問ではなく「引き出す質問」をするためのお手本が、「ヒーロー・インタビュー」です。

大事なのは、詰問ではなく、引き出す質問をしようということです。
引き出す質問の代表が「ヒーロー・インタビュー」です。よく、野球の試合が終わった後で、その試合の中で一番活躍した選手をお立ち台の上に上げて、アナウンサーがマイク向けます。「放送席、放送席、7回裏に決勝ホームラン放った○○選手でした。おめでとうございます。」とやりますよね。(中略)インタビュー側がやることは二つ、「傾聴」と「質問」です。

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自分がインタビュアーになったつもりで、表情豊かに「相づち・頷き・繰り返し」を織り交ぜながら、ヒーロー・インタビューが盛り上がるように、質問をする。

この意識を持って1on1ミーティングを行うと、部下とのコミュニケーションに、手応えを感じられるはずです。

(3)問題解決のスキル

3つめのスキルとして、「問題解決」が挙げられます。

注意点として、「傾聴」と「質問」を十分に実行できていることが、前提となります。

傾聴・質問なしに問題解決が先走れば、前述のとおり、
〈優秀な人ほど、部下が話し始めると、問題解決回路が作動して、…〉
のよくない例に陥ってしまうからです。

一方で、部下が業務上の問題を抱えているときには、1on1ミーティングの場で小まめに解決していくことが、求められます。

その際に重要なのは、「問題の発見 → 解決策の指示」のやり方は、緊急時以外は、使わないことです。

解決策を指示する代わりに、「部下が解決策に気づくための質問」を投げかけるやり方で、問題解決を図ります。

  • × 悪い例:「メモを取らないから、こうなるんだよ。次からはしっかりメモを取るように」
  • ○ 良い例:「自分では、なぜこうなったと思う?次に成功させるためには、どうすればいいと思う?」

部下自身の力で問題解決をできるよう、アシストしていきましょう。

さいごに

本記事では「1on1ミーティング」をテーマにお届けしました。

最後に、筆者がマネジャーとして1on1ミーティングを行う際、自分に投げかけていた3つの問いをご紹介します。

  • 【Q1】ポジティブで、生産的な時間だろうか。
  • 【Q2】安全で、快適な環境だろうか。
  • 【Q3】ミーティングの前と後で、何が変わったか。

よりよい1on1ミーティングを行えれば、部下との関係性やチームの成果に好影響が出ます。マネジャー自身の心理状態も、よくなると感じます。

本記事がそのヒントとなれば幸いです。